パートナーが会社経営者!亡くなった後で困ることとは…

LGBTの相続問題で、同性パートナーへの

財産承継に関することがあります。

 

相続では、預貯金や不動産の名義などの

ことのみならず、

パートナーが会社を経営していたり、

カップルで共同で事業をしている場合、

亡くなった後の

事業承継

についても、生前対策は必要になります。

 

 

 

 

 

 

これは、異性どうしの内縁・事実婚

おいても、同様のことがいえます。

 

 

というのも、将来自分が亡くなった後に、

どのような引継ぎが行われるべきかという

希望があるにもかかわらず、

何の策も講じないとなれば、

誰が組織を運営していくのかで揉めたり

最悪の場合、事業が停滞してしまうことも

あるからです。

 

 

 

 

 

 

そして、事業形態が法人(会社)の場合と

個人事業の場合や、事業の負債があるか

どうかによって、相違点があります。

 

 

事業の今後のことを考え、誰が引き継げる

ようにしておくかを決めておくことや、

相続・承継手続が異なるので、

事前に知っておく必要があるのです。

 

 

では、どのようなことに注意して

対策しなければならないのでしょうか。

 

 

1.個人事業で全部本人名義。資産の区別は大丈夫?

個人事業主として事業をされていた場合に

本人が亡くなった後には、

本人名義の財産は個人資産も事業用財産も

すべて相続人へ承継されます。

 

 

もし、生前に法律上の婚姻や養子縁組に

よって、

パートナーが亡くなられた方の法定相続人

であれば、決してそれのみをもって問題が

ないわけではなく、

遺産承継の際に他の相続人と遺産分割協議

で揉めないようスムーズに進められる

ように、遺言書を作成しておくことが

おすすめです。

 

 

 

 

 

 

ただ、相続財産が預貯金などのプラスの

財産よりも、事業の負債などのマイナスの

財産の方が多い場合、

相続放棄を検討した方が良いケースも

あります。

 

 

 

 

 

 

相続放棄するには、これまでの記事でも

触れたことがあるように、

LGBTの当事者の方で、親の相続に巻き込まれ、相続放棄したい場合。注意することがあります!

2018年2月26日

LGBTの当事者の方で、親の相続放棄を考える際。3か月以内に間に合うかのときは…

2018年9月4日

LGBTの当事者の方で、借金がある親の相続放棄をしたいとき。3か月を過ぎていても諦めるにはまだ早いのでは…

2018年9月29日

 

原則として、3か月の熟慮期間内に

家庭裁判所に申述する必要があるので、

注意が必要です。

 

また、亡くなられた方の個人名義の財産の

処分行為をすると、相続を承認したものと

みなされてしまい、相続放棄や限定承認を

したくてもできない場合があるので、

事業ローンを組んでいる場合、その点にも

注意する必要があります。

 

 

これは、会社名義の負債であっても、

代表取締役個人(パートナー)が

その連帯保証人となっている場合、

パートナーを相続することで

その連帯保証人の地位を承継し、返済義務

を負うことになるので、同様のことが

いえます。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、事業ローンを組む際に、

亡くなられた方が主債務者、

遺されたパートナーが連帯保証人

というようなケースですと、

パートナーは元々保証債務を負うことに

なるので、

主債務者であるパートナーの相続を放棄

しても、保証債務まで免れることは

できないので、返済義務を負うことに

なります。

 

 

では、本人が個人事業主ではなく、

法人(会社)で事業されていた場合は

どうなるのでしょうか。

 

 

2.会社の相続は、株式の相続!

会社の代表取締役(社長)が死亡したから

といって、代表取締役の地位を相続する

わけではありません。

 

 

会社経営においては、事業用財産が

会社所有となり、

社長個人とは切り離されたものになるから

です。

 

 

もし、パートナーが会社(法人)を経営

していて、亡くなられた場合には、

会社(法人)自体が相続財産となるのでは

なく、その方の保有されていた

株式(自社株)が相続財産となります。

 

 

 

 

 

そして、遺された者が会社経営を

続けていきたいのであれば、

それ相応に多くの自社株を承継し、

経営権を支配できる状態にしておく必要が

あるのです。

 

 

株式は、市場価格に関係なく、

会社の支配権でもあり、運営していく上で

議決権という意味では重要な財産でも

あります。

 

 

株式会社の所有者はあくまで株主であり、

株主が様々なことを決めていくことが

必要になり、株主による意思決定の場を

株主総会といいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

株主総会でどれだけの賛成を得れば

決議できるかは会社法に定められており、

通常は、議決権の過半数を有する株主が

出席し、その議決権のうち過半数が賛成

すれば、その議案は可決されます

(普通決議)。

 

しかし、株主の利害に与える影響が

大きな重要事項については、これよりも

厳しい決議要件が定められています

特別決議特殊決議)。

 

 

よって、会社の重要事項を決定していく上

では、株主総会をもって決議することが

それなりにあるので、ある程度の議決権を

受け継いでおく必要があります。

 

 

また、そもそも株式会社には、

株式を他人に譲渡することが自由にできる

形態(公開会社)と、

他人に譲渡するのに会社の承認が必要

なる形態(譲渡制限株式といい、その会社

が非公開会社)があります。

 

多くの中小企業や親族経営の会社は、

譲渡制限株式を採っています。

 

 

そして、定款に、

相続などの一般承継により譲渡制限株式を

取得した者に対し、売り渡すよう請求する

ことができる旨の定めがあれば、

相続人などに対して譲渡制限株式の

売渡請求権を行使することができます

 

実際、売渡しを請求する際には、

株主総会の特別決議が必要になります。

 

とはいえ、売渡請求の相手方は

その株主総会において議決権を

行使できません

 

 

この売渡請求権によって

亡くなられたパートナーの株式を

その相続人が取得した場合でも、

会社は相続人からその株式を取得すること

ができ、会社にとって好ましくない者が

株主にならないよう防止できます

 

 

ちなみに、売渡請求をする場合、会社は

相続があったことを知った日から1年以内

にしなければなりません。

 

 

売渡対象となる譲渡制限株式の売買価格

は、会社と相続人との協議によって

定めますが、どちら側も売渡請求日から

20日以内に、裁判所に対し、売買価格の

決定の申立てができます。

 

裁判所への申立てを選んだ場合、裁判所が

定めた額が売買価格となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、売渡請求日から20日以内に協議が

調わない場合で、かつ、裁判所への申立て

がどちらからもない場合には、売渡請求は

効力を失うので、注意が必要です。

 

 

以上のように、事業承継を進めていく

上で、譲渡制限株式の相続について、

相続人への売渡請求権を定款に定めておく

ことも重要ですが、

パートナーへの生前贈与遺贈といった形

で株式を承継しておくことも有用的です。

 

その際には、以前の記事でも触れたことが

あるように、

遺留分や特別受益の改正で、同性カップルの相続に影響することとは…

2019年6月3日

 

遺留分や特別受益などにご注意ください。

 

 

また、会社経営をしていたパートナーが

亡くなったときには、株式の相続以外に、

会社の役員変更の問題も生じます。

 

では、具体的にどのようなことなので

しょうか。

 

 

3.役員が変わると登記する必要がある!

会社は人間と同じように取引などの主体と

なりますが、

会社の商号・所在場所・機関設計・

役員構成などの具体的な事項は、

必ずしも明確ではありません。

 

もし会社と取引をする相手方にとって

不明確な事項を一から調査・確認すること

を要求するとなれば酷なので、

会社との取引を安全かつ円滑に行うため、

会社法などの法律により定められた取引上

重要な事項(登記事項)を公示します。

 

会社の登記は、法務局が管轄になります。

 

 

 

 

 

 

そして、会社の登記事項に変更が生じた

場合には、原則として、変更があったとき

から2週間以内登記をすることが法律上

義務付けられています。

 

 

登記を怠った場合には、過料の制裁が

科される可能性もあります。

 

 

 

 

 

 

 

しかも、過料の制裁が科されるのは会社の

代表者であり、会社自身ではありません。

 

また、過料は会社の経費(損金)の対象

にならないのです。

 

 

そして、会社の役員に変更が生じた場合

(就任・退任・死亡・解任)にも、

その変更登記をする必要があります

 

 

また、亡くなられたパートナーが

代表取締役であった場合には、

死亡の登記だけではなく、

新たな後任者を選定しその登記を

しなければなりません。

 

 

ほかに、取締役などの役員の人数が

法律上又は定款で定めている人数を下回る

場合には、員数を満たすように新たな役員

を選任する必要が生じ、

株主総会で決議しなければなりません。

 

 

4.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

パートナーが会社経営をしていたり、

カップルで共同経営をしていると、

亡くなった後の事業承継のことで様々な

問題が生じます。

 

 

 

 

 

 

亡くなったときの相続人や、会社の株主が

誰でどれだけの株式を保有しているか、

定款で定めている内容によって、

今後の事業承継に大きく影響が出ます。

 

 

あなたもパートナーとの将来のことで、

亡くなった後の相続だけでなく、

事業のことでもお悩みでは

ないでしょうか。

 

 

いまいちピンと来られていない方は、

ご自身で悩み判断せず、

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