同性カップルがパートナーと養子縁組を
したり、将来的に日本で同性婚が
認められて婚姻して法律上の配偶者と
なったときには、パートナーの親族とも
親族関係が生じることがあり、扶養義務を
負う可能性があります。
婚姻によって、相手方の親族と親族関係が
生じるのを、姻族関係といい、
友情結婚においても、同様のことが
いえます。
なお、内縁・事実婚にとどまれば、
姻族関係は生じません。
養子縁組をした場合には、
養子と養親、養親の血族の間では、血族間
の場合と同一の親族関係が生じます。
その場合、養子の実方の父母との親族関係は
消滅しません。
また、養子が未成年者の場合には、以前の記事でも
触れたことがあるように、
養親の親権に復すことになり、実方の父母の親権は
終了します。
そして、親族の扶養においては、
老齢・幼少・病弱な者や、失業などの事情
などで、生活の糧を得ることが困難な者の
生活を保護・支援する趣旨から、民法で
一定の親族的身分関係のある者の間に、
扶養に関する規定が設けられています。
第一に、本人からみて配偶者・直系血族・
兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務が
あります(絶対的扶養義務)。
ただし、特別の事情があるときには、
家庭裁判所が、上記の者以外の3親等内の
親族間でも、扶養義務を負わせることが
できます(相対的扶養義務)。
ここで、本人からみて直系血族や親等数は、以前の
記事でも触れたことがあるように、
直系血族は、祖父母・父母・子・孫のように、
本人を中心にして世代が上下に直線的に連なる
血族をいい、
姻族の親等数は、配偶者を始点に、血族の親等と
同様に親等を定めます。
なので、本人からみて、
配偶者の父母は1親等の姻族、
配偶者の兄弟姉妹は2親等の姻族、
配偶者の甥・姪は3親等の姻族です。
ちなみに、配偶者の従兄弟姉妹は4親等の姻族と
なりますが、本人からみて3親等内の姻族が親族
なので、親族に該当しません。
配偶者・パートナーとは(表面上)上手く
やっていけても、
その亡き後のこととなって、
同じ墓に入りたくない、
別れることを我慢していてようやく
自由になれたのに、相手方の親族の
世話まですることは勘弁してほしい
というような事情があって、
相手方の親族と縁を切りたいことも
あります。
では、養子縁組・婚姻関係で、
パートナー・配偶者が亡くなった後の
親族関係を終了させるには、
どうしたら良いのでしょうか。
1.死後離縁するには家庭裁判所の許可が必要!
養子縁組を解消することを離縁といい、
離縁については当事者の協議による場合
と裁判上の離縁があります。
裁判上の離縁とは、
他の一方から悪意で遺棄されたとき、
他の一方の生死が3年以上明らかでないとき、
その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき
のいずれかの事由に該当するときに、離縁の訴えを
提起することができ、裁判手続による離縁を
いいます。
もし、縁組当事者の一方が死亡した場合、
縁組から派生した氏や親族関係などの効果
は、原則として、そのまま存続します。
例えば、養親であるパートナーが死亡
しても、生存当事者の養子の方は養親の氏
を称し、死亡当事者の父母などとの
親族関係は存続し、そこには扶養などの
関係が残ることになります。
養子がこれを欲しないときは、家庭裁判所
の許可を得て離縁でき(死後離縁)、
これによって、養親の血族との親族関係も
消滅します。
死後離縁の許可基準については、
離縁の申立てが真意に基づくもので
あれば、
多くの恩恵を養親から受けた養子が生存
する養親の親の扶養などを免れようとして
する離縁や、
多大な協力をしていた養子の死亡後に養子
の死亡後に養子の直系卑属である幼児の
扶養を免れるためにする離縁など、
申立てを許可することが
養親子間・養親族間の同義に反するような
生存当事者の恣意的な離縁でない限り、
許可すべきとされています。
このほかに、裁判上の離縁の要件でも
ある縁組を継続し難い事由があれば、
離縁を許可すべきであると解されて
います。
なので、離縁の許可にあたって、扶養義務
を免れること自体がダメなのではなく、
養親子間・養親族間において道義に反する
レベルに達しているかどうかが鍵と
なります。
ちなみに、養子は離縁によって縁組前の苗字に
戻りますが、この場合でも、縁組の日から7年経過
した後に復氏したときは、離縁の日から3か月以内
に市区町村に届け出ることで、縁組時の苗字を
称することができます。
ちなみに。離婚の場合は、以前の記事でも触れた
ことがあるように、
婚姻期間が要件になりませんが、離縁の場合には、
氏の変更のみを目的とした短期の養子縁組を防止
するため、7年というある程度長い期間を
要求しています。
では、婚姻関係にある配偶者が亡くなった
場合に、死後離婚したい場合には、
どうしたら良いのでしょうか。
2.死後離婚は、死後に離婚届を出すという意味ではない!
死後離婚という名前から、いかにも死後に
役所に離婚届を出して手続するような
イメージになりそうですが、
そもそも婚姻関係の当事者の一方が死亡
すると、婚姻は当然に終了するので、
厳密にいうと、死後に離婚できるという
わけではありません。
婚姻当事者の一方が死亡しても、婚姻から
派生した氏や姻族関係などは存続します。
例えば、婚姻によりAの氏に改めた生存配偶者Bは、
Aの死亡により婚姻が解消しても、Aの氏をそのまま
称し続けます。
ただし、生存配偶者は、戸籍上の届出
(復氏の届出)をすることにより、婚姻前
の苗字に戻すことができます。
また、生存配偶者と死亡配偶者の血族との
姻族関係も存続することになりますが、
生存配偶者が姻族関係を終了させる
意思表示をし、その旨の戸籍上の届出を
することにより、姻族関係を終了させる
ことができます。
なお、生存配偶者の復氏も、死亡配偶者の
血族との姻族関係を終了させることも、
いずれも生存配偶者の自由な意思で
なされます。
そして、両者は別個の問題であり、
必ずしも同時に行う必要はなく、
また一方を行うことで他方に影響が及ぶ
わけでもありません。
なので、姻族関係を終了させずに復氏する
こともできます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
配偶者・パートナーに先立たれた後には、
相続のことだけではなく、相手方の親族と
の今後の問題も生じます。
また、死後離縁・死後離婚をしたからと
いって、相続権を失うわけでは
ありません。
とはいえ、遺された立場になったときに
親族関係を終了させたいというような思い
にさせないよう、パートナーへの財産承継
などが円滑に進むよう、以前の記事でも
触れたことがあるように、
遺言書などの生前対策を講じておくことは
重要です。
あなたも配偶者・パートナーの死後や
将来的に亡くなられた後の親族関係のこと
で、お悩みではないでしょうか。
いまいちピンと来られていない方は、
ご自身で悩み判断せず、
是非お問い合わせください。
コメントを残す