同性カップルが遺言書で相続対策。自筆証書遺言の改正で公正証書遺言のメリットがなくなるわけではない!

LGBT相続の話題になると、

同性カップルパートナーに財産を

どのように承継させるかが問題となり、

そのために使われる方法が遺言書です。

 

また、異性どうしの内縁事実婚の場合に

おいても同様です。

 

 

一般的な遺言書は、自筆証書遺言

公正証書遺言秘密証書遺言があります。

 

 

 

 

 

 

自筆証書遺言と公正証書遺言については、

以前の記事でも触れたことがあるように、

将来の相続のことで同性カップルが遺言でパートナーに財産を遺す。遺言で注意することは…

2017年8月10日

 

これまで自筆証書遺言は、全文を手書きで

する必要があり、記載内容や方式に誤りが

あると無効になってしまうおそれや、

遺言者本人が死亡して相続手続をするに

あたって家庭裁判所の検認が必要になる

デメリットがあり、一方、公正証書遺言

は、法律の文章のプロである公証人により

作成され、証人2人以上の立会いのもとで

行われるので、内容が無効になるおそれも

なく、家庭裁判所の検認も不要です。

 

 

ただ、自筆証書遺言について、制度の改正

があり、全文まで手書きする必要は

なくなり、家庭裁判所の検認が省略できる

制度ができました。

 

 

とはいえ、この改正をもって公正証書遺言

のメリットがなくなるというわけでは

ありません

 

 

では、自筆証書遺言の具体的な改正内容

と、今までどおりの公正証書遺言ならでは

のメリット(自筆証書遺言のデメリット)

は、どのようなものでしょうか。

 

 

1.全文を手書きで書くのは面倒だから…

2019年1月13日から、自筆証書遺言の

作成にあたり、遺言書に添付する財産目録

(承継させたい対象財産の内容)について

は、パソコンで作成する方法など、手書き

によらずに済むようになりました

自筆証書遺言の方式緩和)。

 

 

今までは、対象財産の内容も含めて全文を

手書きでする必要があり、作業面での

ハードルの高さや誤字・脱字のリスクが

ありました。

 

例えば、対象財産が預貯金であれば、

銀行名・支店名・種類・口座番号などを

記載して特定する必要があります。

 

 

 

 

 

不動産の場合には、所在・地番・地目・

地積などを記載して特定します。

 

 

 

 

これらは、記載内容の量もそれなりに多い

ので、今回の改正により、記載作業の量は

軽減されます。

 

 

添付する財産目録は、パソコンによる

作成方法以外にも、不動産であれば

登記事項証明書、預貯金であれば通帳の

コピーなどを添付することができます。

 

 

また、添付する書類にはすべてのページに

署名・押印する必要があります。

 

両面に記載があれば、両面ともに署名・

押印が必要です。

 

 

ちなみに、パソコンなどのように手書きに

よらずに作成できるのは、添付する

財産目録についてであって、遺言書本体は

今までと同様に手書きで作成する必要が

あります

 

 

では、自筆証書遺言でも相続手続で

家庭裁判所の検認を省略できるのは、

どのような改正でしょうか。

 

 

2.検認が不要な自筆証書遺言とは…

2020年7月10日から、自筆証書遺言を

法務局で保管する制度が施行されます。

 

 

 

 

 

 

今までは自筆証書遺言は保管方法が指定

されているわけではなく、遺言者が任意の

場所に保管している場合が多く、

亡くなった後に発見されなかったり、紛失

したり、相続人などの利害関係のある者に

偽造・変造・破棄されるリスクが問題と

なっていました。

 

 

そこで、法務局に自筆証書遺言を預け、

保管してもらうことで、より確実に遺言を

残しておくことができるようになります。

 

 

保管してもらう法務局の管轄は、遺言者の

住所地・本籍地、又は遺言者が所有する

不動産の所在地によって決まります。

 

 

この手続では、法務局は、遺言書が

法務省令の定める様式に合っているか

どうかをチェックし、遺言書の原本を保存

するとともに、画像情報を法務局同士で

共有します。

 

 

そして、法務局で保管してもらっている

自筆証書遺言は、相続時に遺言の内容を

実現しようとする際に、家庭裁判所の検認

を省略することができます

 

 

 

 

 

 

これは、検認が家庭裁判所に遺言書が確か

にあったということを確認してもらう

証拠保全の手続であって、法務局に保管

してもらえれば、偽造・改ざんのおそれは

ないからなのです。

 

 

ちなみに、保管された遺言書の内容を

知りたくて、法務局に閲覧請求する場合、

遺言者が生存中の間は、遺言者本人しか

閲覧請求することができません

 

 

遺言者本人が死亡した場合には、自己

(請求者)が相続人や受遺者などになって

いる遺言書(関連遺言書)が保管されて

いるかについて証明した書面(遺言書保管

事実証明書)の交付を請求することが

できます(遺言書の保管の有無の照会)。

 

 

また、遺言書の画像情報などを用いた

証明書(遺言書情報証明書)の交付請求

遺言書原本の閲覧請求ができます。

 

 

では、自筆証書遺言でも、法務局の

保管制度を利用すれば検認申立手続が不要

になるにもかかわらず、公正証書遺言の方

がメリットがあるのは、なぜでしょうか。

 

 

3.公正証書遺言の方が安全な理由とは…

今回の改正で自筆証書遺言に添付する

財産目録が手書きでなくても遺言書として

成立するとなると、遺言者本人以外の者が

勝手に偽造した、対象財産の内容を

差し替えられたなどのように紛争に繋がる

おそれが十分にあります。

 

 

 

 

 

 

また、法務局で保管する場合、法務局は

保管の申請時に法務省令の定める様式に

従って作成されているかどうかについては

チェックしてくれますが、それはあくまで

保管に必要な範囲に関してのみであって、

遺言の内容についての審査や確認までをも

してくれるわけではありません

 

 

さらに、遺言の作成時に遺言者本人に

遺言能力が必要であることを踏まえると、

以前の記事でも触れたことがあるように、

LGBTの相続問題で遺言書を作成するとき。亡くなる前ならいつでもいいわけではない!

2018年9月30日

 

遺言の作成時の判断能力に問題があると

なれば、遺言が無効となる可能性も

あります。

 

自筆証書遺言の場合、遺言能力があった

ことを立証するのは難しいものです。

 

 

一方、公正証書遺言の場合、法律の文章の

プロである公証人が筆記して作成し、

遺言者・証人(2人以上の立会いが必要)

が内容を確認するので、無効な遺言になる

おそれは少ないのです。

 

 

 

 

 

 

立ち会う証人は、以前の記事でも触れた

ことがあるように、

LGBTの当事者が相続について公正証書遺言を考える際に、証人をどうするのか?

2018年6月1日

 

遺言者に人違いのないことや、遺言者が

正常な意思能力のもとで自己の意思に

基づいて遺言の内容を公証人に口授して

いることを承認する役割があるので、後に

遺言の有効・無効ついて争いになった際、

証言の確保という点でも優れています。

 

 

ほかに、上記2.の内容にもあった、

遺言書情報証明書を交付したり、遺言書の

原本を閲覧させたりしたときは、法務局

は、遺言者の相続人などに通知する義務が

あります

 

 

そのため、遺言書情報証明書の交付請求や

遺言書の原本の閲覧請求をする際には、

相続人全員の戸籍が必要になります

 

 

 

 

 

 

 

一方、公正証書遺言であれば、遺言の存在

や内容を確かめるときに、自筆証書遺言

法務局で保管する制度とは異なり、相続人

などに通知する制度はないので、相続人の

戸籍を収集する手間もありません

 

また、通知の制度がない分、突然内容を

知らさせる相続人により予期せぬ紛争

起こすという事態がないのです。

 

 

4.結論

いかがだったでしょうか。

 

自筆証書遺言が従来よりも作成方式が緩和

され、法務局の保管制度を採れば検認手続

を省略できるようになったといえども、

遺言の内容の十分性や遺言能力が後に

なって蒸し返されるような問題は残って

おり、公正証書遺言の方がそのリスクを

避けるのには適しています。

 

 

ちなみに、秘密証書遺言は、以前の記事

でも触れたことがあるように、

LGBTの相続に関する話題で遺言が挙がるけど…秘密証書遺言って何?

2018年7月23日

 

公正証書遺言よりも費用対効果は良いとは

いえず、あまり利用されていません。

 

 

あなたも将来のパートナーの相続事情の

ことで遺言書を作成するにあたって、

自筆証書遺言・公正証書遺言の選択や、

遺言の内容をどうするかなどのことで

お悩みではないでしょうか。

 

 

いまいちピンと来られていない方は、

ご自身で悩み判断せず、

是非お問い合わせください。

同性カップルの相続・生前対策の教科書無料プレゼント!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です