同性カップルで、将来自分が亡くなった
ときに、パートナーへ財産等の権利を移す
のに、生前に公正証書遺言を準備しておく
ケースが考えられます。
公正証書遺言は、公証役場で公証人により
作成され、証人2人以上の立会いが必要に
なります。
公証役場での流れとしては、
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人が
遺言者の口述を筆記して、その内容を遺言者と証人
に読み聞かせたり、閲覧させたりします。
そして、遺言者と証人が、筆記の正確なことを
承認した後に、各自が署名・押印をします。
ところで、立会いに必要になる証人とは、
決して誰でも良いわけではなく、
証人としてふさわしくない者や、その職責
を果たすことが困難な者もいます。
いわゆる欠格者は、民法上で定められて
おり、欠格者が証人になったり、欠格者で
あるが故に、立会いに必要な人数を欠いた
状態で作成されると、方式違反なので無効
になります。
では、証人の欠格者とは、どのような者を
さすのでしょうか。
1.公正証書遺言作成で証人になれない者とは…
そもそも証人とは、遺言者に人違いのないこと、
遺言者が正常な精神状態のもとで自己の意思に
基づいて遺言の趣旨を公証人に口授すること、
公証人の筆記が正確なことを承認する職責が
あると同時に、公証人の職権濫用を防止する役割
があります。
なので、民法上、次の者は、証人の欠格者
としています。
①未成年者
判断能力が十分でないためです。
②推定相続人・受遺者
遺言の内容に直接利害関係がある者で、
遺言者に不当な影響を与えるおそれが
あるためです。
そして、いずれもその配偶者・直系血族も
含まれます。
③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記・
使用人
遺言を作成する公証人の指揮監督下にあるためです。
なので、①~③に該当する者でなければ、
欠格者でない以上証人にはなることが
できます。
しかし、欠格者に該当しなければ
誰でも良いという意味では
ありません。
2.欠格者でないなら証人は誰でもなれるが…
公正証書遺言作成のための方式を満たす
だけでしたら、証人は、上記1.の①~③の
者でなければ誰でも良いことになります。
友人、近所の人などでもなることができます。
しかし、証人に遺言の内容を知られて
しまう以上は、人は選ぶべきでしょう。
なので、その意味では、職業上の守秘義務
がある者を証人にする方が望ましいと
いえます。
また、公正証書遺言がその名のとおり
「公正」であるためには、遺言執行者と
証人は別の者がなる方が望ましいです。
たしかに、遺言執行者に指定された者は、
遺言の受益者ではないので、証人になる
こと自体はできます。
ただ、遺言執行者がその執務において報酬
が発生するのであれば、証人は別の者の方
が、良くない疑いが起きるのを防ぐことが
できます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
公正証書遺言においても、後の有効性を
争うこと自体はできてしまい、
そうなった時に公証人以外にも、証人が
キーパーソンになることは十分に
あり得ます。
なので、公正証書遺言の作成を考える際
は、内容のみならず、証人を誰にするかも
検討する方がより良いでしょう。
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