LGBT(セクシュアル・マイノリティ)の
当事者の方で、疎遠になった親の相続を
受ける側の立場になることはあります。
疎遠の事情には、セクシュアリティを
めぐっての壮絶な不和(勘当や絶縁など)
というケースもあります。
特にトランスジェンダーの方にとっては、
外観が変わることで周りとの関係で
色々あり、長年親と会わない状態が続いて
疎遠になることは珍しくありません。
ただ、勘当・絶縁などの事情があっても、
親が亡くなった際には、法律的には子で
ある以上、
親の相続を受けることになります。
そして、相続を受けるということは、
預貯金・不動産などのプラスの財産だけ
ではなく、借金や未払金などのマイナスの
財産も承継します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/02/借金2.jpg)
まぁ不動産においては、「負動産」という言葉が
あるように、プラスの財産とは限らないのも事実
です。
そして、相続を受ける(単純承認)ので
あれば家庭裁判所に書類を提出するような
手続は必要ありませんが、相続放棄や
限定承認をする場合には、以前の記事でも
触れたことがあるように、
相続人は、原則として、自己のために相続
の開始があったことを知ったときから
3か月以内(熟慮期間内)にしなければ
なりません。
相続放棄を家庭裁判所に申し立てる際
には、相続放棄申述書に自分が相続人と
なった日を記載し、その日付は自己申告で
問題ありません。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/家裁.jpg)
これに関しては、その事実を電話で通知を
受けるなどのような目に見えなく証拠と
して残せない場合でも、実際にその日付で
あればそれで問題ありません。
あくまで、自分が相続開始の事実を知った
日であり、相続放棄申述書が作成された日
ではないので、注意が必要です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/注意点.png)
しかし、長年疎遠となっていた親の相続を
いきなり受ける立場になったとしても、
相続財産を調査するだけでも
それ相応に時間がかかる
ことなので、承認するのか放棄するのかを
決めるといっても、
現実的に3か月以内ではとても判断が
できない
というケースも十分考えられます。
そのような場合には、熟慮期間内に、
家庭裁判所に相続の承認・放棄の
期間の伸長を申し立てる
ことができます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/09/熟慮期間の伸長-300x206.png)
では、どのように手続を進め、いかなる具合で期間
を延長できるのでしょうか。
1.まず3か月以内に伸長手続をしましょう!
相続の承認・放棄の期間を伸長したい場合
には、相続人・利害関係人や検察官が
家庭裁判所に申し立てることによって
期間を伸長できます。
利害関係人には、受遺者、被相続人の債権者、
相続人の債権者などが含まれます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/遺贈.jpg)
なので、同性カップルの方々でパートナー
に遺贈する際にも、包括遺贈(遺産の全部
又は一部を割合で示して行う遺贈)で
あれば、以前の記事でも触れたことが
あるように、
受遺者たるパートナーの地位は、遺産の
法定相続分の割合を取得する相続人と同様
のものになるので、包括遺贈の承認・放棄
についても、相続の承認・放棄の規定が
そのまま適用されるため、3か月以内の
期間とその伸長も同様です。
相続の承認・放棄の期間の伸長を申し立てるには、
相当な理由を記載することになりますが、
最終的には家庭裁判所の裁量により判断されます。
伸長を認めるかどうかは、相続財産の構成
や所在場所、相続人が居住している場所が
国内遠隔地か海外かなどのような事情を
考慮します。
そして、期間伸長が申し立てられると、
一般的には、1~3か月程度の延長が
認められることが多いのですが、
期間の伸長が認められない場合もあるので
注意が必要です。
ただ、期間が伸長されたとしても、
その効果について気をつけることが
あります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/リスク.jpg)
2.熟慮期間は相続人ごとに進行する!
相続人が複数人いる場合には、期間伸長の
効果は、申立てをして認められた人だけに
及びます。
なので、一人の相続人が申立てをしても
他の相続人には影響しないので、熟慮期間
も相続人ごとに進行するため、熟慮期間の
進行も相続人ごとにそれぞれです。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/02/相続人全員-300x156.jpg)
特に、相続放棄をした方が良い可能性が
ある相続においては、伸長した方が良い
ことを教えてあげることも大切です。
また、相続人の中でもすでに熟慮期間の
起算点が開始している(自己に相続が
開始したことを知った)人に対しては、
特に重要です。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
相続放棄をする場合でしたら、期間伸長を
熟慮期間が終了する間際に申し立てると、
伸長が認められないと、期限を過ぎ
相続放棄できなくなる可能性もあります
ので、期間伸長の申立ては日程的に余裕を
もって行うのが安全です。
また、相続放棄をするのであれば、戸籍
などの書類がすぐには揃えることが
難しそうな場合、相続放棄申述書だけ
家庭裁判所に提出し受付だけを先にして
もらうと、事後的に書類提出における追完
の指示は受けるものの、期限切れの扱いに
はならないので、期限が目前に迫っている
場合には良策といえます。
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