LGBTの当事者の方で、親の相続に巻き込まれ、相続放棄したい場合。注意することがあります!

LGBT(セクシュアル・マイノリティ)

当事者の方で、疎遠になった親の相続を

受ける側に立場になることがあります。

 

 

これは、仮に過去のカミングアウトにより

勘当を受けたなどの経緯があった

としても、法律上親族との関係は切れない

以上、親が亡くなると相続人になります。

 

 

 

 

 

 

特にトランスジェンダーの方で

性別取扱変更もされたといったケースでは

外観から変わるので、レズビアン・ゲイ・

バイセクシュアルの方のように外観だけで

は(言わない限り)分からない場合と比較

すると、疎遠・絶縁といったケースは

あり得ます。

 

 

まず、相続とは、人間が死亡した場合に、

その死者(被相続人)が生前に有していた

財産上の権利や義務を一定の範囲の親族が

包括的に承継することをいいます。

 

 

承継される財産(相続財産)には、

預貯金や不動産のようなプラスの財産

(積極財産)だけでなく、債務(借金)の

ようなマイナスの財産(消極財産)も

含まれます。

 

 

 

 

 

 

 

そして、相続人は、原則として、

自己のために相続の開始があったことを

知ったときから3か月以内に、

相続を承認する(受ける)か

放棄する(受けない)かを

選択しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

この相続の承認・放棄を決める期限

となる、3か月以内の期間を、熟慮期間

といいます。

 

起算点は、亡くなったときからではなく、

あくまで亡くなり相続が起きたことを

知ったとき」からです。

 

 

相続の承認には、2通りあります。

 

 

1つ目は、単純承認といい、相続人が

全面的に被相続人の有していた相続財産を

包括的に承継することです。

 

つまり、オーソドックスな「相続を受ける」という

パターンです。

 

 

2つ目は、限定承認という方法です。

 

これは、相続人が相続によって取得する

積極財産を限度として、被相続人の債務

など(消極財産)について責任を負担する

という留保を付けた上で承認する方法

です。

 

 

簡単に言うと、例えば、相続して受けた

財産が1,000万円あり、借金が3,000万円あった

場合に、承継された借金の3,000万円のうち

相続財産の1,000万円で弁済すればよく、

残額2,000万円は弁済する責任を負わずに済むという

方法です。

 

 

仮に、このケースで単純承認をして

しまうと、借金3,000万円全額を返済

する責任を負うことになります。

 

つまり、2,000万円については、

自己の財産から持ち出してでも弁済

しなければならないことになります。

 

 

 

 

 

 

 

次に、相続放棄とは、相続人が相続開始に

よる効果を全面的に否定することで、

相続人にならないようにすることを

いいます。

 

 

 

 

 

 

相続放棄は、

単に「私は相続を受けません!」と伝える

だけでは足りず、その手続を家庭裁判所

行わなければなりません。

 

 

 

 

 

 

また、相続放棄は、相続が起きる前にあらかじめ

することはできません。

 

つまり、「父さん(母さん)が亡くなった時でも、

私は相続を受けません!」と、事前に手続を

しておくようなことはできないのです。

 

 

相続放棄をすると、財産を受け継ぐことは

できませんが、債務も受け継がないので、

借金の方が多い場合には弁済する必要は

ありません。

 

 

 

 

 

 

ただし、負債を受け継いでしまうことを

想定して、相続放棄や限定承認を選ぼうと

思っていても、法律上状況次第で

できない、つまり、単純承認する方向に

なってしまうことがあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

1.単純承認したとみなされる場合(法定単純承認)とは…

相続人が積極的に相続の承認の意思表示を

しなくても、次のようなことに該当

すれば、単純承認したものとみなされ、

限定承認や相続放棄ができなくなって

しまいます。

 

 

①相続財産の処分

 

「処分」には、相続財産を売却するなどの

ほかに、次のような内容も該当します。

 

建物の取壊しや放火

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

預貯金の解約・払戻

 

払戻金を自分のために消費した場合は、相続財産の

処分に該当します。

 

 

 

 

 

 

なので、払戻しを受けた金銭は、自分の財産と区別

できるようにしておく必要があります。

 

外観上紛らわしい行為はできる限り避けた方が良い

です。

 

・債権の取立て

 

被相続人が賃貸不動産を所有されていた

場合に、その賃料の支払いの請求や、

賃料の振込先を自己名義の口座に変更

するような行為は、相続財産の処分に

該当します。

 

 

 

 

 

 

 

ただ、被相続人の債権について、

相続開始前から弁済期が到来している場合、

相続人が債務者へ支払請求することは、

「相続財産である債権の価値を維持する行為」と

いえるため、相続財産の処分には該当しません。

 

・株主の議決権行使

 

等々

 

 

ちなみに、次のような行為は、原則的に

法定単純承認には該当しません。

 

・建物の維持のための修繕(保存行為)

 

 

 

 

 

 

・遺体や身の回りの品、僅少な金銭の受領

 

・交換価値のない物の形見分け、多くの

遺産のうちの僅かな物

 

・遺産による葬儀費用や治療費の支払い、

墓石や仏壇の購入

 

 

 

 

 

 

・被相続人の債務の弁済

 

相続財産から充てる場合は処分に該当する可能性が

ありますが、相続人が自分の財産から弁済する場合

は処分に該当せず、法定単純承認になりません。

 

等々

 

 

熟慮期間の経過

 

自分に相続開始があったことを知ってから

3か月を経過してしまった場合を

いいます。

 

 

③限定承認や相続放棄をした相続人が、

矛盾するような背信行為をしたとき

 

相続財産の全部又は一部を隠匿したり、

勝手に消費したりするような行為などを

いいます。

 

 

 

 

 

 

 

ところで、負債が多い場合には限定承認と

いう方法も有効に思えそうですが、注意

することがあります。

 

 

2.限定承認にはデメリットがある!

限定承認は、負債の弁済をするにあたり、

相続財産の範囲内で済むことがメリット

です。

 

 

しかし、この手続を行うには、相続人全員

が共同して、相続財産目録を作成して、

家庭裁判所に提出しなければなりません。

 

 

なので、相続人のうち、一部が単純承認

してしまうと、限定承認ができなく

なります

 

 

そして、限定承認がされると、家庭裁判所から選任

された相続財産管理人が、資産と負債を管理し、

管理人において資産を換金して負債の返済に

充てることになります。

 

 

また、限定承認をすると、みなし譲渡所得

が発生して、納税が必要になります。

 

 

 

 

 

 

 

単純承認の場合は被相続人が取得した状態を相続人

が引き継ぐだけですが、限定承認をした場合、

被相続人が相続開始日にすべての資産を相続人に

時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が

課せられます。

 

 

特に、自宅不動産について譲渡所得税が

発生することは多いです。

 

限定承認は、親族間売買になるので、

居住用財産の3,000万円特別控除などの

優遇制度が適用されません

 

 

この譲渡所得税は、被相続人の債務と

なり、相続税の計算上債務控除の対象に

なります。

 

 

ただ、この譲渡所得は、被相続人の

準確定申告を、相続開始を知った日から

4か月以内にする必要性が出てきます。

 

 

3.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

相続財産において、借金の承継が

一体どうなるのかを考えたり、相続自体に

関わりたくないという想いがあるなら、

相続放棄を選ぶことは有用的

です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、民法上・判例上、熟慮期間の3か月

を過ぎていても、例外的にできる余地も

あります。

 

 

あなたも上記のように、同じようなことで

お悩みではないでしょうか。

 

 

いまいちピンと来られていない方は、

ご自身で悩み判断せず、

是非お問い合わせください。

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