LGBTの相続問題において、
同性カップルのパートナーに、
子(卑属)、
父母(尊属)、
兄弟姉妹のいずれもいない場合、
そのパートナーが亡くなったときには、
相続人がいないことになります。
ほかに、本来の法定相続人が全員相続放棄した
場合も、相続人がいないケースに該当します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/放棄-300x150.jpg)
そうすれば、
生前に身寄りの世話をしてきた者が
財産を受けることができる、
いわゆる「特別縁故者」として、
相方である自分が相続を受けることが
できる余地があると考えられますねぇ。
たしかに、民法上の相続の規定では、
そのようになりそうに思えますが、
ここで注意することがあります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/注意点.png)
特別縁故者とは、
家庭裁判所の審判によって財産を受ける
ことができる者です。
つまり、遺されたパートナーが
特別縁故者になれるかどうかは、
家庭裁判所の判断次第
なのです。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/家裁.jpg)
よって、いくらパートナーには
法定相続人に該当する者がいないからと
いっても、
特に生前何もしなくて大丈夫という
わけではありません。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/朗報-1.jpg)
では、なぜどのように対策すれば
良いのでしょうか。
1.特別縁故者の定義とは…
民法上の規定では、
特別縁故者になれる条件として、
次の3つが定められています。
①被相続人と生計を同じくしていた者
例えば、婚姻届を出していない内縁の配偶者や、
事実上の養子・養親が該当します。
②被相続人の療養看護に努めた者
被相続人を献身的に看護したり介護したりしてた
者を指します。
これは、無償で利害関係なく行っていることを
いうので、看護師や介護士など、
職業として看護や介護を行っていた人は
該当しません。
③その他被相続人と特別の縁故があった者
①・②と同じくらい被相続人との間に
具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接
な関係があった人で、
その人に財産を分与することが被相続人の
意思に合致するであろうと思われる者を
いいます。
①~③を踏まえると、
パートナーも特別縁故者になれる要素は
あります。
しかし、家庭裁判所の審判によって
特別縁故者になれるので、
上記の条件に該当していることの証明が
必要になります。
裁判官に確かにそうなんだという
心証を抱かせるための証拠は、
割とハードルが高いんです。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/証拠.jpg)
たしかに、特別縁故者が簡単に認められれば、
身寄りのないお金持ちの人に財産目当ての
ハイエナが群がり放題になりかねませんので、
そのような現状だといえるのでしょう。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/ハイエナ.jpg)
また、パートナーが特別縁故者の審判を
受けるのにも期間を要するのです。
2.パートナーが特別縁故者の審判を受けることはすぐにできるわけでない
第一に、
相続人調査をして相続人がいない場合、
亡くなられた方の財産について、
家庭裁判所が相続財産管理人を選任
します。
選任された相続財産管理人は、
まず相続人が本当にいないかを確かめるため、
相続人捜索の公告を官報に載せるなどして
行います。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/官報-300x160.png)
そして、一定の期間内に相続人の申出が
なければ、
相続人不存在が確定されます。
相続人不存在の状態になると、
特別縁故者に財産分与を申し立てる権利が
与えられることになります。
実は、
手続上相続人不存在が確定するまでは、
最低10か月かかります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/待てない.png)
特別縁故者として認められる人が
家庭裁判所に申立てをして、
審判を得られれば、
その人が遺産の一部又は全部をもらうこと
ができるようになります。
特別縁故者として
認められなかった場合や、
特別縁故者に財産の一部しか
与えられなかった場合、
財産が残ってしまいます。
この残った財産は、
国庫に帰属することになってしまいます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/12/ナダル.jpg)
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
あらかじめご自身に法定相続人がいないと
分かっている場合は、
パートナーが特別縁故者になる余地
に依存せず、
遺言を作成するなどの策を講じた方が、
いざパートナーが相続手続をする際にも
有効といえます。
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