同性カップルで同居する住宅を探す際に、
目に入るのが、LGBTフレンドリーを
掲げている不動産業者だと思います。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/12/LGBTフレンドリー.jpg)
ただ、住宅も決して民間の賃貸物件のみ
ならず、公営住宅、公団住宅、特定優良
賃貸住宅を検討するケースもあります。
そこで、同性カップルが、世帯や同居親族
の点で、婚姻している夫婦と同様に
扱われるのかどうかという疑問が
浮かびます。
まず、公営住宅とは、公営住宅法上では、
「地方公共団体が、建設、買取り又は借上げを
行い、低額所得者に賃貸し、又は転貸するための
住宅及びその附帯施設で、この法律(公営住宅法)
の規定による国の補助に係るもの」
と定義されています。
公営住宅には、管理主体が市区町村と都道府県のが
あります。
旧公営住宅法では、入居資格の中に、
「現に同居し、又は同居しようとする親族(婚姻の
届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある
者その他婚姻の予約者を含む。)があること。」
という同居親族要件がありました。
この要件によって、同性カップルが公営
住宅の入居者から法律上排除されている
扱われ方がありましたが、
同性カップルも
「婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と
同様の事情にある者」に該当する、
つまり事実婚に当てはまると解釈する余地
はあります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/10/事実婚-300x200.jpg)
ただ、その後の公営住宅法の改正により、
上記の同居親族要件は、撤廃されました。
ところが、同居親族要件が撤廃されたこと
が、同性カップルの公営住宅への入居が
全面的に認められている意味ではないので
注意が必要です。
では、公営住宅に関して、同性カップルの
入居要件はどうなのでしょうか。
1.同居親族要件がケースバイケースになるのは…
公営住宅法自体には、入居資格に同居親族
要件は撤廃されたものの、その要件を
設けるかどうかは、各地方公共団体の判断
に委ねられています。
なので、同居親族要件の有無は、地方公共
団体ごとにばらつきがあるため、事前に
確認しておく必要があります。
また、パートナーシップ証明書を発行して
いる自治体では、条例などで、男女平等・
多様性を尊重する趣旨を推進する規定が
あることも考えられるので、同居親族要件
があったとしても、
パートナーシップ証明書を取得した
カップルが公営住宅へ入居できることは、
十分にあり得ます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/パートナーシップ証明-266x300.png)
同居親族要件には、公団住宅にも、似た
ようなことがいえます。
公団住宅とは、UR(都市再生機構)が供給
する住宅をいい、原則として、住宅の
申込資格に同居親族要件があります。
ちなみに、ハウスシェアリング制度を導入
している住宅もあり、その場合には、親族
同士でなくても入居することができます。
ハウスシェアリング制度は、元々単身高齢者などが
友人と互いに協力し合って共同で生活したいという
居住ニーズへの対応ができるようにつくられた
制度です。
この制度の活用によって、家賃負担の軽減や
緊急時の助け合いを図ることができるのです。
この場合の契約形態は、同居者2人が
それぞれ賃借人として契約することに
なり、入居後に、入居者の追加・変更は
できないので注意が必要です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/注意点.png)
ほかに、特定優良賃貸住宅のケースでは、
どうでしょうか。
2.同性カップルの特定優良賃貸住宅での入居は…
特定優良賃貸住宅とは、
「認定計画に基づき建設される賃貸住宅」
をいい、
中程度の所得階層のファミリー向けを
メインに供給を前提としている賃貸住宅
です。
特定優良賃貸住宅は、供給計画を策定し、
その計画について都道府県知事の認可を
受ける必要があり、その認定の要件と
して、供給計画の中に賃貸住宅の入居者の
資格を定めることになっています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/10/許認可.png)
入居者の資格については、一定の場合を
除き、同居親族がいることを資格として
定めています。
この同居親族には、「婚姻の届出をしない
が事実上婚姻関係と同様の事情にある者
その他婚姻の予約者」も含まれるので、
事実婚も前提にされています。
そして、同性カップルでの入居を検討する
際には、入居資格とその中の同居親族要件
を充足するかどうかの判断のための具体的
な運用については、全国的にばらつきが
あり、統一性がないので、特定優良賃貸
住宅の審査団体に事前に確認しておく方が
良いですねぇ。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
公団住宅のハウスシェアリング制度で
あれば、同性カップルで入居できるのは
明らかですが、それ以外では自治体の判断
によってのケースバイケースにはなる
ものの、入居できる余地はあります。
なので、同性カップルでも、内縁関係で
あることを、パートナーシップ契約や
任意後見契約を内容とする公正証書などで
証明することで、入居要件をクリアできる
可能性も考えられます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/04/公正証書2-300x188.gif)
そして、パートナーシップ契約や
任意後見契約では、以前の記事でも触れた
ことがあるように、
将来生活上必要になってくる内容は、
様々な場面に対応できるよう注意が必要
です。
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