交際している同性カップルの当事者で、
パートナーと一緒に住んでいる際、
家を所有又は賃貸しているが片方の名義
というケースはよくあります。
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そして、同居において、所有者や賃借人の
名義人でない当事者は、どんな立場で
どんな義務を負うかという問題が
生じます。
まず、所有権登記名義人や賃借人でない
パートナーは、家の居住にあたり、
独立した立場ではない単なる同居人
なので、履行補助者という立場に
該当します。
ここにいう、履行補助者とは、何かしらの
責任追及に問われたときの「過失」がある
かどうかのときに用いられる論理です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/責任.jpg)
所有者の名義人や賃借人である方は、
債務者として義務を負うことがあり、
その義務違反によっては損害賠償責任を
負うことがあります。
例えば、賃貸借の場合、賃借人(債務者)は、
契約やその家の性質によって定まった用法に従い、
その使用・収益をしなければならず、
使用期間中はその家の保存につき善管注意義務を
負います。
また、マンションであれば、賃借人(占有者)は、
使用方法について区分所有者が規約や集会の決議に
基づいて負うのと同一の義務を負うことに
なります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/マンション-300x99.jpg)
何かトラブルがあったときの
「債務者の責めに帰すべき事由」という点
が問題となる場合、単に債務者自身の
故意・過失だけではなく、信義則上これと
同視すべきものとして、履行補助者の
故意・過失も含まれます。
なので、債務者は、履行補助者の過失に
対しても債務不履行の責任を負うことと
されます。
つまり、所有者の名義人や賃借人は、
家の居住において、名義人でない
パートナーの故意・過失に対しても
債務不履行責任を負うことになるの
です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/朗報-1.jpg)
では、そもそも家やマンションに住むにあたって、
所有者や占有者としてどのような責任が発生する
のでしょうか。
1.建物等、いわゆる土地の工作物責任とは…
例えば、家のブロック塀が崩れて、隣家に損害を
与えたり、通行人にケガを負わせた場合などを
想定します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/塀が崩れる-300x225.jpg)
土地の工作物の設置・保存に瑕疵がある
ことによって他人に損害を与えた場合、
その工作物の占有者(賃借人等)は、
被害者に対して損害賠償責任を負います。
この工作物責任は、他人に損害を
生じさせるかもしれない危険性のある
物を支配している者は、その危険が実現
したときにはその責任を負うべきだという
考え方を根拠にしています。
ただ、占有者の場合、損害の発生を防止
するのに必要な注意をしたときは、免責
されます。
そして、その場合は、所有者が過失の有無
を問わずに責任を負うことになります
(無過失責任)。
ただ、損害賠償をした場合でも、それが
建設会社などの怠りによって発生した損害
であれば、その建設会社などに補填した
賠償額を求償することができます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/建設.jpg)
2.失火した場合、どれくらいの責任を問われるのか?
民法では、
「故意又は過失によって他人の権利又は
法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を
負う」と定められており、
この責任を不法行為責任といいます。
上記1.の工作物責任は、不法行為責任の
一つです。
簡単に言うと、自分の落ち度で他人に迷惑をかけた
ならば、相手に対して損害賠償する責任を負うと
いうことです。
しかし、失火による類焼については、
要件が異なります。
失火によって他人の家から類焼して自宅が
燃えた、又は反対に相手の家を燃やした、
というケースの場合、民法ではなく、
失火の責任に関する法律(失火責任法)の
規定が適用されます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/永沢くんの火事-225x300.jpg)
失火責任法は、単なる過失(軽過失)の
場合には責任を負わず、重過失があった
ときに責任を負うものとされています。
元々、失火責任法は、明治32年に制定された法律
で、その当時木造家屋が密集していて、
火災が発生すると延焼しやすい住環境でした。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/木造家屋.jpg)
なので、自宅を失い、さらに延焼させた方に
損害賠償責任を負わせるのは、賠償能力からみて
度を超えていると考えられていました。
失火責任法の考え方や理屈が、現在の日本
の建築物の構造や環境に合っているか
どうかは疑義がありますが、隣家の延焼の
場面においては、失火責任法が適用されます。
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ただし、失火責任法が適用される民事責任
は、あくまで不法行為責任であり、
債務不履行責任には適用されませんので、
注意が必要です。
例えば、建物の賃借人が失火した場合、
賃貸借契約の用法違反・善管注意義務違反などに
より、賃貸人に対して債務不履行責任を負うには、
過失の程度は重過失に限らず軽過失も場合も
含まれます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/心配.jpg)
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
カップルのうち、居住している建物の名義
が一方のみであっても、同居している
パートナーの責任も課せられることは
あり得ます。
また、履行補助者には、又貸しのような
転借人も含まれますので、注意が必要
です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/11/又貸し.jpg)
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