LGBT(セクシュアル・マイノリティ)の
当事者が抱える問題のうち、アウティング
があります。
アウティングとは、本人の承諾を
得ないで、その者の性的指向や性自認を
公表することをいいます。
まず、アウティング自体は、それによって
プライバシーが侵害されることで、
民事上の不法行為に該当します。
もちろん、名誉棄損という理由での不法行為責任の
追及も考えられますが、
名誉棄損は社会的評価が損なわれたという考え方に
ありますので、その主張は抵抗があるように
思えます。
とはいえ、アウティングの態様や程度、
その動機、被害者の性的指向などが
どのくらい周知されていたかなどの事情
次第では、アウティングが不法行為に該当
しないと評価されたり、該当したとしても
被害の程度は低いと評価される場合も
あり得ます。
では、アウティングをされる前に
何とかしておく方法がないのかという問題
があります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/心配.jpg)
1.アウティングを脅し文句にされている場合には…
性的指向や性自認をばらすなどと告げて、
恋人関係の継続を迫ったりすれば、脅迫罪
や強要罪に該当する可能性があります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/10/脅迫罪.jpg)
また、その脅し文句により金品を交付
させたりすれば、恐喝罪に該当します。
もしすでにアウティングがなされた場合
には、民事上の不法行為以外に、
名誉棄損罪を理由に刑事告訴で責任追及
することができます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/10/刑事告訴-300x141.jpg)
ただ、一旦家族や周囲の人に知られて
しまうと、知られる前の状態に戻すことは
非常に困難なので、早く対応する必要性が
生じます。
では、アウティングを防ぐために、抑止力
のあることはどのような方法でしょうか。
2.アウティングを阻止するためには…
アウティングされるかもしれない状況により不安に
なり、精神的に追い詰められることがあります。
また、相手方の言動からパニックに陥る
ことで、自分ひとりでは迅速な対応をとる
ことが困難な場合もあります。
そのようなときには、弁護士の介入も考慮
し、アウティングの違法性の指摘や、
アウティングをした場合に法的手続
(損害賠償請求訴訟、刑事訴訟)を採る
ことの警告をすることが有用的です。
また、本人・家族、職場等関係先へ連絡
しないことの要請も踏まえた方が良い
です。
警告の仕方には、代理人弁護士名義で
内容証明郵便を相手方に送る方法と、
弁護士が同行、又は弁護士のみで相手方に
直接会って伝える方法が考えられます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/08/内容証明郵便.jpg)
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/10/弁護士.jpg)
通知文を送る場合には、連絡は代理人
弁護士宛にすることを記載することも、
アウティングの抑止には有効です。
また、アウティングを抑止するために策を
講じる際に、弁護士の介入が、金銭面や
気持ちの面で抵抗がある場合もあります。
そのような場合には、通知文の作成自体の
相談をし、発送するのは本人名義でする
ことも考えられます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
アウティングをされる前後で対応は
変わりますが、事前に防止するための警告
は重要です。
また、雑誌などでアウティングされる
おそれがある場合には、出版等の差止めを
裁判所に申し立てる方法もあります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/裁判.jpg)
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