同性婚の制度を考えたとき。婚姻でカップルの特別扱いの合理性をどうみるのか…

LGBTの話題において、

同性婚」をどのように扱うのかや、

制度の導入はどういった流れになるのか

という議論は、従来からあります。

 

 

婚姻制度、性犯罪、売春などの規定は、

異性愛男性目線の基準・考え方・概念の

ようなものが法を巣食っている様子が

うかがえます。

 

異性愛男性中心のセクシュアリティ観が

あたかも前提になっているような概念は、

同性婚における問題にも影響を与えて

いますねぇ。

 

 

現在異性カップルのみが利用している

婚姻制度を同性カップルにも利用可能に

するための「同性婚」については、

以前の記事でも触れたことがあるように、

憲法は同性婚を禁止していない。禁止しているという解釈こそ人権の軽視というべき!

2017年8月3日

 

 

憲法24条が婚姻の成立に「両性の合意」を

求める条文ではあるものの、

同性婚を認めること自体はそれに違反する

ものではありません。

 

 

また、憲法14条の平等原則から同性婚の

合法化が求められるという主張も

あります。

 

 

ただ、平等原則という抽象的なことでは、

合法化、また認められていないことが違法

について、どのように論理展開していけば

よいかが分かりづらいことも

珍しくありません。

 

 

そこでこの記事では、

婚姻セクシュアリティの関係と

同性婚」を考察するにあたり、

勉強になる題材として、

『セクシュアリティと法』(法律文化社)

の「カップルの特別扱いに合理性は

あるか?」(著 齊藤笑美子)の章の内容に

ついて紹介します。

 

 

まず、同性婚の可能性については、婚姻が

セクシュアリティが伴うことを前提にして

いる考え方があります。

 

 

「婚姻は子どもを産み育てる枠組みなので、

自然生殖が不可能な同性カップルには認められない」

という考え方・主張がある一方、

「同性カップルも、愛し合うカップルである以上、

異性カップルと同様に婚姻が認められるべきである」

という考え方・主張もあります。

 

 

また、パートナーシップ制度は、婚姻外の共同生活

を保護していくのに、種々ある人間集団のうち、

この「カップル」を特別に括り出しているが、

特別の含意を法律的に認めることの根拠は何なのか

という話にもなります。

 

 

 

 

 

 

 

1.同性婚の地位とは何なのか?

日本においては、「法律上の婚姻」こそ

が、(事実婚と異なり、)「正統な結合」

という意味合いをもつという考えが

あります。

 

 

法律が承認する婚姻がもつ正統性こそが、

同性婚の合法化において俎上に載せられて

いる焦点にもなっています。

 

 

これは、婚姻制度を考えるにあたって、

平等原則はそもそもどのような概念なのか

ということにもつながります。

 

 

 

 

 

 

 

 

差別には、「地位のレベル(差別の犠牲者

の社会構成員たる地位自体の格下げ、

排除、又はその者らに対するスティグマの

押しつけ)」と、「権利・義務等のレベル

(権利・利益、義務の不利益分配)」が

あります。

 

 

さらに、平等について、反別異の視点と

反従属の視点との対比関係があります。

 

 

反別異は、権利・義務等のレベルにおける別異扱い

を問題としています。

 

 

一方、反従属は、権利・義務等の不平等分配の背後

にあるマイノリティの社会的地位の格下げを問題と

しています。

 

 

ということは、分配される権利・義務の

多寡のみを問題とすれば「分離すれども

平等」が成立する可能性はあるものの、

反従属の視点を採ると、区別していること

自体がマイノリティの格下げにつながって

いるのではないかという問題が発生

します。

 

 

また、地位に関する序列を生殖可能性を

参照基準として正当化されてきたような

ことも否めません。

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、生殖不能であっても異性カップルである

ならば婚姻でき、さらに自然生殖が不能だとしても、

(婚姻している)異性カップルには第三者の配偶者

を利用した生殖補助医療の利用や養子の共同縁組

などにより、子育てに参加する道が開かれています。

 

 

このようなことを予断なしにみると、

同性カップルの正統性が社会的再生産に

参加することが不可能と考えられているが

故に拒否され、正統性がないため

社会的再生産に参加する道が閉ざされて

いるというような奇妙な循環構造が

出てきます。

 

 

同性婚の合法化をめぐっては、

同性カップルに対する平等な地位の承認と

いう点で、地位のレベルとしては問題と

なっています。

 

 

婚姻制度は、様々な法律上の権利義務や事実上の

反射的利益・便宜を分配していますが、

このような資源配分機能とは別個に、

婚姻は何かしらの道徳的権威をもっており、

婚姻している又はその可能性のあるカップルに

道徳的正統性を付与していると思われる部分が

あります。

 

 

では、婚姻制度の資源的分配機能を

どのような捉え方があるのでしょうか。

 

 

2.婚姻制度を権利・義務の視点でみると…

婚姻が付与する地位の問題と区別される

争点としては、婚姻制度を通じて

分配されている具体的な法的権利・利益が

あり、これらの獲得こそが同性婚の合法化

における重要な争点であると考える当事者

も多いのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

日本では民法上、婚姻の効力として、

夫婦同氏、同居・協力・扶助義務、貞操義務、

法定夫婦財産制の適用、婚姻費用分担の義務、

日常家事債務の連帯責任があります。

 

 

しかし、その内容について当事者の選択や

交渉を強く制限する効果の強制力が大きい

のは夫婦同氏ぐらいだということが、

婚姻の法的効果は大きくないと捉えられる

こともあります。

 

 

また、入籍はしていない(婚姻の届出は

していない)が故に法律婚には該当しない

内縁(事実婚)の場合でも、上記の

類推適用が認められ保護を受けるので、

法律婚だけが独自にもたらす法的効果と

いう点でみると、その意義自体が

より小さくなります。

 

 

とはいえ、婚姻夫婦間の相互義務から分離

して、子育てへの参与をみれば、

共同親権、特別養子縁組や生殖補助医療の

利用などの面で、婚姻しているカップル

のみがアクセスを認められている現状が

あります。

 

 

3.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

婚姻制度には重要な利益が付帯されて

いて、私的自治という範囲では対応困難な

ものもあります。

 

 

とはいえ、

以上のような同性婚に託されている

課題の処理と、

現行制度を不動の前提として

特定の権利・利益をこのまま婚姻カップル

のみに認め続けることとは

別問題となります。

 

 

なので、婚姻を特別のカテゴリーとして

維持し続けるべきかどうかについては、

まだ答えられていない問いとして残って

います。

(参照文献『セクシュアリティと法』

(法律文化社)「カップルの特別扱いに

合理性はあるか?」(著 齊藤笑美子))

 

 

ただ、婚姻自体がそもそも何なのかを

考察していくことは、

同性婚の制度だけではなく、

内縁・事実婚、友情結婚やポリアモリー

など、

家族のかたちの多様化が進む現代では

重要なことには違いありません。

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