同性婚を認めることが合憲・違憲を考える
際に、憲法24条の条文が挙がります。
憲法24条には、以下のように記されています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/憲法-300x216.jpg)
1項:婚姻は、両性の合意のみに基いて
成立し、夫婦が同等の権利を有することを
基本として、相互の協力により、
維持されなければならない。
2項:配偶者の選択、財産権、相続、住居の
選定、離婚並びに婚姻及び家族に関する
その他の事項に関しては、法律は、
個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚
して、制定されなければならない。
そして、憲法24条1項を根拠に、
「同性婚が禁止されている」という説が
あるようですが、
実はこの条文によって
同性婚が禁止されているわけではない
のです。
では、その根拠は何なのでしょうか。
1.憲法24条1項にいう「両性」とは…
そもそも、憲法24条は、
明治憲法下における「家」制度を否定
することが核心となる規定です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/家制度-300x122.png)
「家」制度は、強固に男女差別的な仕組みでした。
例えば、戸主と家族からの構成により、
戸主は家族の身分行為に対する同意権
(婚姻には戸主の同意が必要だったなど)が
ありました。
また、家の財産は長男子だけが相続する(家督相続)
とされたり、妻の財産取引上の無能力が規定
されたりする部分もありました。
戦後における日本国憲法では個人の尊重が
掲げられていますので、それを踏まえ、
「家」制度を廃止するため、
憲法24条が定められたのです。
なので、
「夫婦の同等の権利を基本として」
という文言に対応するものとして、
男女がともに同等の地位であることを
はっきりさせるためにあえて
「両性」という言葉を使用されたもの
です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/夫婦.jpg)
2.憲法24条1項に「両性」と書かれている≠同性婚が禁止されている
上記1.の内容からすれば、憲法24条1項が
男女の婚姻しか認めていない、
つまり、同性婚を禁止した規定と捉えるのは
著しく不合理な結論になります。
なので、
同性婚の法制度化は、
憲法24条1項に反するものではない
のです。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/同性婚2.jpg)
夫婦同氏規定判決(最大判平成27年12月16日)に
おいても、憲法24条1項の趣旨について、
「婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻するかについて
は、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられる
べきであるという趣旨を明らかにしたものと
解される」と判示しています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/08/苗字-300x265.jpg)
ここでは、「当事者間」という用語が選択
され、
「男女間の合意」という用語は
使われていません。
この点からも、
憲法24条1項が同性婚を禁止した
ものではないという解釈につながる
のです。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
日本の現状では、登録パートナーシップ
制度が、一部の地方自治体で導入される
ことなどがみられますが、国レベルの
法制度としては整備されていません。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/パートナーシップ制度.jpg)
ただ、『ローマは一日して成らず』という
言葉もあるように、
あらゆる人類の営みが積もり、
次の時代をつくり上げていくものだと、
私は考えます。
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