少し前になりますが、9月末にフジテレビで
放送された
「とんねるずのみなさんのおかげでした
30周年記念スペシャル」の中で
「保毛尾田保毛男」という
ゲイの当事者に対する侮辱に値する
キャラクターを登場させたことによって、
非難・抗議が殺到し、翌日フジテレビ側の
社長が謝罪した、事件がありました。
「保毛尾田保毛男」とは、80年代末から
90年代にかけてフジテレビの番組
「とんねるずのみなさんのおかげです」の
コントの中でとんねるず 石橋貴明さんの
扮していたキャラクターで、濃い青髭・
七三分け・モゴモゴした喋り方が特徴
です。
これがゲイの方に対する誤ったイメージを
つくり上げ、世間の間違った当たり前を
広めた原因です。
レギュラーで放送当時、子どもだった
多くの当事者を傷つけたのです。
特に学校で子どもたちはよくマネをし、
クラスの中で当事者の方を
「お前保毛尾田保毛男だろう」などとからかう
様子もあったのです。
テレビ番組、特にお笑い・コントの
番組に対し、
北野武さんは、
「見る側に寛容さが欲しい。」、
松本人志さんは、
「LGBTに対する差別の助長に
つながるが、あまりにもの萎縮にも
懸念がある。」、
とのコメントがあったようですが、
「誰かを傷つける系統の笑い」とは、
次元の低い笑いに過ぎません。
たしかに、松ちゃんのいう
「萎縮」とは、テレビを面白くすることに
走りすぎるのはよくないが、
非難・抗議を視野に入れると
何もできなくなるのでは、
といったことは、
他の場合でも考えられます。
志村けんさんのお年寄りのキャラクター
(ひとみ婆さん)も言動次第では、
侮辱に当たります。
また、差別的でなくても、芸人カミナリについては
「どつく」ツッコミもケースバイケースです。
ただ、保毛尾田保毛男には、
「男が男を好きになることは、みんなから
気持ち悪がられて笑われるものだという
強烈な印象づけ」を世間に与え、
当事者の方のカミングアウトの
選択肢を間接的に奪うことに近い
ものです。
また、そのレギュラー的に放送されていた
ときの若者である世代が、
現在の中高齢世代なので、
LGBT(セクシュアル・マイノリティ)に
対するイメージ・理解を正しくもって
もらおうとするために築き上げたものを
潰しにかかったという影響も考えられるの
です。
LGBT(セクシュアル・マイノリティ)に
限った話ではありませんが、
テレビの放送において、国民の人権に
ついての考慮は慎重にすべきものだと
思います。
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