LGBTの相続問題への生前対策には、
同性カップルがパートナーの将来もしもの
時に備えて、遺言書を作成することが
考えられます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/07/遺言4.jpg)
遺言書を作成するには、15歳以上で意思能力が
あれば可能です。
そして、遺言者の判断能力によっては、以前の記事
でも触れたことがあるように、
医師の立会いがなければ無効となる場合や、
無効とならなくても後に紛争にならないように
医師の立会いがあった方が良い場合があります。
ただ、判断能力に何ら問題はなくても、
遺言者が身体的な障害・不自由によって
遺言書の作成に支障があったり、
後に遺言書が真正なものであるかどうかに
ついて紛争が起こり得ることが
考えられます。
目が見えなかったり、
口がきけなかったり、
耳が聞こえないというケースでは、
公正証書遺言を作成するにあたり、
遺言者の意思確認のために、通常の方法と
少し異なった形態で行われます。
目が見えないときは、自分の意思を
公証人に伝えることと、公証人との話を
聞くことができますが、公正証書遺言の
原本に署名押印をすることの困難性が
考えられます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/12/盲導犬.jpg)
このようなケースでは、公証人がその事由
を記載して目が見えない方に代わって
代署・代印することができます。
では、口がきけない、耳が聞こえない場合には、
どのような方法を採るのでしょうか。
1.遺言者の口述に代わる方法とは…
口がきけない場合に公正証書遺言を作成
するには、遺言者に、証人2人以上の面前
で、遺言の趣旨を通訳人の通訳に口述
させるか自書(筆談)させて、公証人が
これを筆記して、その内容を遺言者・証人
に読み聞かせ、又は閲覧させて筆記の正確
なことを確認し、このような方式によって
旨を付記する方法で行います。
公証人に筆記させるための、通訳人の通訳
による口述か、公証人と筆談方式によるの
かは、遺言者が任意に選択することが
できます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/公証人.jpg)
通訳人を必要とする場合、その選定をする
のは、原則として、嘱託人たる遺言者が
します。
ただ、必ずしも遺言者だけではなく、
場合によっては、公証人が遺言者の依頼に
よって、各都道府県の手話通訳派遣協会
などを通じて、通訳人を選定することも
できます。
その際に、通訳人に対してかかる費用は、
遺言者が負担することになります。
では、耳が聞こえない場合の方法は、どのように
なるでしょうか。
2.手話のできる公証人が登場するわけではない!
耳が聞こえない場合に公正証書遺言を作成
するには、遺言者は、証人2人以上の面前
で遺言の趣旨を口授し、公証人はその内容
を筆記して、この筆記した内容を通訳人に
より遺言者に伝え、又は閲覧させて筆記の
正確なことを確認する方法で行います。
遺言者に筆記の正確なことを確認させる
ための、公証人の読み聞かせに代えて
通訳人の通訳による方式か、閲覧で
済ませる方式によるのかは、遺言者が
任意に選択することができます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/12/手話.jpg)
この際においても、通訳人の選定については、
上記1.の口がきけない場合の方法と同様です。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
平成11年の民法改正以前までは、
言語の障害などによるケースでは、
公正証書遺言を作成することが
できなかったのですが、改正後現在では、
そのようなケースであっても、上記の方法
で意思確認をすることで公正証書遺言の
作成ができます。
また、通訳人を必要とする際に、その選定
を公証人に依頼すると、一定の水準の能力
を有する手話通訳者を確保することが
できるので、手続が円滑に進められる
というメリットがあります。
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