同性カップルの方々で、自分又は
パートナーが将来亡くなった際に、財産の
承継に関して遺言書で準備することが
あります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/12/遺言書-300x166.jpg)
ただ、将来自分とパートナーの
どちらが先に亡くなるかは、
分からない
ものです。
財産を遺贈する場合、遺言者の死亡以前に
受遺者が死亡したときは、その効力を
生じません。
なので、例えば、自分が亡くなったときに
備えて自分の財産をパートナーに遺贈する
内容の遺言を作成しても、受遺者である
パートナーが自分よりも先に亡くなる
と、受け取る者がいなくなることで、
その遺言の内容は無効
になってしまいます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/08/白い目.jpg)
このように受遺者が先に亡くなった場合に備える
には、その時が来た際に無効になった部分に
ついて遺言者が遺言を新たに作成することも
一応は考えられます。
しかし、その時点で遺言能力を喪失する
可能性もあることを考慮すると、遺言を
新たに作成することが難しくなるケースも
あるのです。
遺言は、15歳以上であれば誰でも作成することが
できるのが原則ですが、意思能力を備えておく
必要があります。
医者に認知症(又はその疑いがある)と
診断されている場合などには、遺言能力
(意思能力)がないことを理由に遺言が
無効となる可能性があります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/認知症.jpg)
また、公正証書遺言の作成をまた新たに
する場合には、遺言者にそれ相応の新たな
費用負担が生じてしまいます。
そこで検討しておく方が良いことが、
遺言を作成する際に、
予備的遺言を残す
ことで、自分・パートナーのどちらが先に
亡くなっても(逆死が起きても)、
どちらのケースにも対応でき、
遺言者の想いを実現させることです。
では、どのようにすれば良いので
しょうか。
1.受遺者の第2候補を決めておくには…
遺言の内容の効力を発生させるには、
受遺者は遺言者の亡くなった時点で
生存していなければなりません。
一般的に起こる相続で逆死が起きた場合には、
その亡くなられた者の子に該当する者が相続する
という代襲相続になります。
しかし、遺言における受遺者が遺言者より
も先に亡くなる逆死のケースでは、予定
していた受遺者の子に当たる者が承継する
ような、いわば代襲遺贈のようなものは
ありません。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/相続できない.jpg)
ということから、受遺者であるパートナー
が遺言者より先に亡くなる事態が起きた
場合に承継する者が記載された内容を残す
のが良いです。
自分の想いを形にするうえで、
自分の親族でもいいですし、
パートナーの親族というのも
考えられます。
また、代襲遺贈というのはないものの、
代襲相続の起き得るケースもあるのです。
では、どのようなケースでしょうか。
2.例外的に代襲相続の効力を発生させるにも注意が必要!
同性カップルでも、一方又は両者に子が
いることは決して珍しくありません。
そして、その子からみて家族的な付き合い
で仲良くすることもあります。
なので、パートナーの子が第2候補という
考えもあり得ます。
ここで、自分からみるとパートナーは
通常親族ではないので、法定相続人でない
場合が多く、財産を承継させるにも
あくまで「遺贈」になるので、代襲相続は
起きません。
ただ、もし自分とパートナーが養子縁組の
していて、パートナーが自分の法定相続人
という関係であれば、受取人が相続人で
あってその者に「相続させる」という遺言
をする場合に該当するので、逆死が起きた
ケースに代襲相続を発生させる余地は
あります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/カップル相続.jpg)
裁判例(最高裁平成23年2月22日判決)に
よれば、
「相続させる」旨の遺言に係る条項と
遺言の他の記載の関係、遺言書作成当時の
事情、及び遺言者の置かれていた状況など
から、遺言者がその推定相続人の代襲者に
遺産を相続させる旨の意思を有していた
という特段の事情があれば、
代襲相続の効力を生じさせる余地がある
ことを示しています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/裁判.jpg)
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
遺言書を作成する際には、受取人が遺言者
よりも先に死亡したら誰を受取人にするか
などの予備的・補充的な遺言をしておく
ことは、本来遺言書を作成する意味を発揮
させるうえでも望ましいのです。
また、遺言は、遺言者が自由に撤回や訂正
ができるよう、一人で作成する必要が
あり、2人以上の人が同じ遺言書で遺言を
することはできないのです
(共同遺言の禁止)。
なので、カップルで同じ遺言書で遺言を
しても、その遺言は無効になります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/注意点.png)
ですから、
カップルが相互に遺言を作成する
という方法を採ることも良策といえます。
あなたも遺言書について、同じようなこと
でお悩みではないでしょうか。
いまいちピンと来られていない方は、
ご自身で悩み判断せず、
是非お問い合わせください。
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