LGBTの当事者で結婚されている方は
います。
その婚姻生活中に、当事者が同性の方と
不貞行為(浮気・不倫)をするケースも
あり得ます。
そして、以前の記事でも触れたことがある
ように、
配偶者以外の相手と性的な関係をもった
場合、たとえそれが同性間の性的行為で
あっても、
不貞行為と扱われる可能性は高く、
離婚事由や慰謝料の対象
にもなり得ます。
そもそも、民法上の条文に明文まではない
ものの、婚姻の性質から、夫婦は互いに
貞操義務を負います。
そして、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を
持った第三者は、他方の配偶者の夫又は妻
としての権利を侵害したものとして
不法行為責任を負います。
なので、不貞行為をされた側の配偶者は、
不貞行為の相手方、いわゆる浮気相手に
も慰謝料を請求することができます。
しかし、このような責任はどのような場合
にも認められるというわけではなく、
不貞行為は悪いものの、一定の制約は
あります。
では、不貞行為があっても、不法行為責任
を負わないのは、どのようなケースなので
しょうか。
1.冷めた夫婦関係の上での不貞行為では…
不貞行為が不法行為責任として問題になるのは、
その行為が夫又は妻の平穏な夫婦生活をおくる
権利(利益)を侵害するからです。
なので、夫婦の婚姻関係がすでに破綻して
いた当時に、肉体関係を持つことは、
その権利(利益)がすでに失われている
と考えられており、原則として、
不貞行為としての不法行為責任は
生じません。
ただ、これは意味を反対側から捉えれば、
婚姻関係が破綻する前から継続している
性的関係であるときには、不貞行為が
あったものとして浮気相手に責任追及と
して慰謝料を請求できるということでも
あるのです。
不貞行為をされた側の配偶者が、不貞行為
の相手方に対し、慰謝料を請求すると、
相手方から
「夫婦関係はすでに破綻していると
聞いていた」や
「(夫又は妻とは)離婚協議中であった
はずだ」という弁明が
されることは珍しくありません。
ここで、何をもって「婚姻(夫婦)関係は
破綻している」といえるかが問題と
なります。
2.婚姻関係の破綻の代表例は「別居」であるが…
別居というのは、婚姻(夫婦)関係が破綻
しているか否かについて外観上から判断
できる要素です。
そもそも、夫婦には法律上、同居して
互いに協力し扶助しながら共同生活を
おくる義務があります。
お互いの仕事での事情や家族の病気・介護
の目的など、やむを得ない事情による別居
を除いては、夫婦間が悪化して別居を選択
することは、婚姻(夫婦)関係が破綻した
ものと扱われる可能性は十分にあります。
一時的なものではなく、長期に及ぶ別居が
常態化していると、婚姻(夫婦)関係の
破綻が認められやすくなります。
ここで、別居ということで婚姻関係が破綻
していたとしても、性的関係を持つことが
不貞行為に当たるかどうかの、時期が問題
となります。
別居の時期が明確に確認できるのであれば
良いのですが、夫婦の別居と性的関係が
開始した時期が重なるような微妙な状況に
陥ることは珍しくありません。
「別居する前からすでに性的関係があった
のではないか。」や
「別居になる前から関係があったことに
よって相手が離婚することを望んでいた
のではない。」というような
疑いも出てくるのです。
なので、別居の開始(婚姻関係の破綻
時期)から相当の年月が経過したときで
あれば、不貞行為として扱われなく
なりますが、その時期の明確・不明確に
より、結論が変わりますので、行動には
慎重になった方が良いのです。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
不貞行為と夫婦の婚姻関係破綻が問題に
なる場合、別居は重要な要素になります。
また実際の事実とは異なっていたと
しても、不貞行為の相手方が
「夫婦(婚姻)関係が破綻している」と
認識していた場合には、相手方がその件に
ついて故意又は過失があったかどうかで、
不貞行為における不法行為責任が
認めれるかどうかの話になります。
ただ、このような展開にならぬようにも、
夫婦・パートナーの関係で中途半端な状態
になるようなことを避けることを
おすすめします。
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