遺言執行者をパートナーにするとき。改正で注意することとは…

同性カップル内縁・事実婚の関係で

将来の相続に備えて遺言書を作成される際

に、その遺言の内容を実現する者、

いわゆる遺言執行者をパートナーにする

ケースがあります。

 

 

 

 

 

 

遺言執行者とは、以前の記事でも触れた

ことがあるように、

同性カップルでパートナーのために遺言書を作成する際に、遺言執行者を定めることの重要性とは…

2018年8月6日

 

遺言の内容となっている目的物の保管・

引渡・登記などの手続(遺言の執行)を

行います。

 

 

遺言執行者が定められていないと、相続人

全員の関与が必要になってしまうため、

遺言執行者を決めておくことは重要です。

 

 

また、遺言執行者になれない者は、

未成年者破産者のみなので、これら以外

の者は遺言執行者になることができ、

受遺者となるパートナーもなることが

できます

 

 

ところで、相続法の改正によって

遺言執行者の内容についても改正が

あります

 

 

 

 

 

 

2019年7月1日から、

遺言執行者の権利・義務などの改正が

施行されます。

 

 

では、パートナーが遺言執行者になるに

あたってどのようなことを注意すればよい

のでしょうか。

 

 

1.遺言執行者の任務が開始したら…

改正前から、遺言執行者には、

相続財産目録を作成して相続人に交付

すべき義務があったものの、自らが就任

した事実や遺言の内容を通知する義務に

ついての規定はありませんでした。

 

 

改正では、遺言執行者には任務が開始した

ときに相続人に遺言の内容を通知する義務

が課せられることになりました。

 

 

そして、遺言執行者は、遺言の内容を実現

するために権利義務があることが明文化

されました。

 

 

これは、遺言執行者が必ずしも相続人の利益のため

にその職務を行うのではなく、遺言の内容を実現

することが責務であることを明らかにすることで、

遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合でも、

遺言者の意思に従えばよいいうことになるのです。

 

 

 

 

 

 

また、遺言執行者と相続人との間で無用な

紛争が生じるのを防止する観点から、

「相続人の代理人とみなす」という表現も

改められました。

 

 

次に、遺言の内容が「〇〇に相続させる

というケースのときに、注意することが

あります。

 

 

2.「相続させる」旨の遺言の注意点!

改正前で、「〇〇に相続させる」旨の遺言

特定財産承継遺言)がされた場合、その財産が

不動産のケースでは、以前の記事でも触れたことが

あるように、

同性カップルの方々で、将来パートナーへ財産を遺贈することを考えてる場合。注意することがあります!

2018年2月27日

 

権利を承継した相続人が単独で登記申請をできる

ことから、遺言執行者は登記手続をすべき権利も

義務もない状態でした。

 

 

相続させる旨の遺言によって承継された権利に

ついては、登記しなくても第三者に対抗できる

(自分のものだと主張できる)とされていたこと

から、遺言執行者が受益相続人のために速やかに

対抗要件を備える必要性もさほど高くなかったの

です。

 

 

しかし、改正後では、

特定財産承継遺言がされた場合について

も、取引の安全などを図る観点から、

法定相続分を超える権利の承継について

は、対抗要件を備えないと、第三者に

権利の取得を対抗できなくなりました

 

 

 

 

なので、遺言執行者は、遺言の内容を実現

するためにも、速やかに対抗要件の具備を

させる(登記手続など)必要性が高まり、

それも遺言執行者の権限となりました。

 

 

また、預貯金債権について

特定財産承継遺言がされた場合にも、

原則として、遺言執行者に預貯金債権の

払戻し預貯金契約の解約の申入れをする

権限があることも規定されました。

 

 

 

 

 

 

ただ、預貯金債権の一部

特定財産承継遺言の目的となっているに

過ぎない場合、遺言執行者に預貯金債権

全部の払戻しを認めることになれば、

受益相続人以外の相続人の利益を害する

おそれがあるので、預貯金契約の解約権限

については、預貯金債権の全部が目的と

なっている場合に限定されています。

 

 

3.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

遺言執行者は、遺言者の相続人の利益と

対立する場合でも、遺言の内容を実現する

ために動けばよいのです。

 

 

また、改正により、遺言執行者が

その任務の代行者を選任する要件も緩和

されましたが、予備の遺言執行者を指定

しておくことも重要です。

 

 

遺言書を作成する際には、遺言執行者

としてどのように職務を遂行するのかを

見据えて作ることをおすすめします。

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