自分の人生の終わりを
よりよく迎えるために、
積極的に準備をする活動を、
いわゆる「終活」といい、
終活をする人は年々増加しています。
ご自身の心身の自由が失われた際の対処の
仕方や、
終末期医療の意思選択、
葬儀の方法やお墓について、
遺された家族への遺産の分割方法など、
死において、
本人の意思を尊重すべき様々な問題が
あります。
また、セクシュアル・マイノリティの
カップルの方々も、
終活に対する意識が高い傾向があります。
終活において、最も手軽なのが
「エンディングノート」
のように思われます。
書店にも数多く置いてあり、
銀行や葬儀屋さんなどでももらえるところが
あるようです。
エンディングノートとは、
家族・同居人へのメッセージや財産に
ついて、
葬儀の希望などをノートに
記入していくものです。
しかし、
「エンディングノート=遺言書」
と誤って認識されている人が
増えてきています。
たしかに、エンディングノートは、
自分の意思を書き残すことができるので、
一見遺言としての効力があるように思え、
そのように勘違いされることが
多いように思えます。
では、エンディングノートと遺言は
何が違うのでしょうか。
1.そもそも遺言とは…
遺言書に記載をしておけば、
どのようなことでも
法的な拘束力が発生するというわけでは
ありません。
遺言書に記載することによって、
遺言としての法的効力が生じる事項は、
民法などの法律によって限定されています
(遺言事項法定主義)。
主に、相続分に関する内容や、子の認知・
未成年後見人の指定などです。
遺言は、遺言者の一方的な意思表示によって
法的効果を生じるものの、相続開始後になれば、
その遺言者の意思を確認することは
できなくなります。
にもかかわらず、あまりに無限定に遺言事項を
認めてしまうと、権利関係が曖昧になってしまい、
相続人や利害関係人に迷惑をかけ、
場合によっては紛争が多発してしまうおそれが
あります。
よって、遺言の明確性を確保して
後日の紛争の拡大を予防するために、
あえて法は、
遺言事項法定主義を採用して、
遺言事項を限定しています。
では、エンディングノートは、
何のためにあるのでしょうか。
2.エンディングノートの役割とは…
実際に
一般的なエンディングノートは、
法的に有効な遺言とはなり得ません。
あくまで、
死後に身内にやっておいて欲しい要望を
書き残しておくノート止まりになります。
なので、
その内容を実現する義務もない
のです。
ノートに書いたから安心だということでは
決してなく、
ノートの内容を死後に実現してもらう
ようにするには、
正式な遺言書が必要になります。
その点を踏まえれば、エンディングノートは、
自己の考えの整理に活用していくのが有用的だと
いえます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
遺言の法定事項は遺言を作成し、
遺言の法定事項でない事柄については
エンディングノートを作成するという
役割分担も考えられます。
そして、遺言書を作成する際には、
以前の記事でも触れたことがあるように、
公正証書遺言でする方が望ましいです。
また、ご自身が亡くなった際に、
パートナーにやってもらいたいこと
として、
「死後事務委任契約」
(亡くなってから効力を発生させる
委任契約)を講じておくことも有効的
です。
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