同性カップルの方々で、別れる際に、
今まで築き上げてきた共有財産について
分割をする場合、財産分与や共有物の
分割方法は、原則として、当事者間の
話し合いで決めて進めるのが一般的な
考え方です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/10/別れ.jpg)
もし、パートナーシップ契約書などで、
共有財産の分割方法を定めていれば、
その内容に従うことになります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/パートナーシップ契約-300x265.png)
また、その定めの有無にかかわらず、
当事者間で別段に合意があれば、それに
従って進めます。
そして、共有物を協議によって分割する
には、3通りの方法があります。
一つ目が、現物分割です。
これは、単に共有物を数量的に分ける方法です。
二つ目は、代金分割です。
これは、共有物を売却してその代金を分ける方法
です。
三つ目は、価額賠償です。
これは、当事者の一方が共有物の所有権を取得
して、他方に金銭を支払う方法です。
ただ、共有者の協議が調わない場合には、
各共有者は裁判所に分割を請求できます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/裁判.jpg)
「共有者の協議が調わない」場合に裁判で分割請求
できるわけなので、前提としての協議は必要に
なります。
しかしながら、裁判による分割を採ろうと
する際には、注意することがあります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/リスク.jpg)
1.同性カップルの共有物の分割は、家事事件ではない!
現在、同性カップルでパートナーは法律上
の配偶者という立場ではありません。
なので、同性カップルがパートナーシップ
を解消して行う、共有物の分割が
「離婚による財産分与」の事件とは
ならない
ので、管轄は
家庭裁判所でなく、地方裁判所
になります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/神戸地方裁判所-300x137.jpg)
また、離婚などの家事事件においては、
たとえ一般的に法律上の争いごとが最終的
に訴訟手続で解決を目指すとしても、争い
の内容によっては、訴訟ではなく調停から
先に始めなければならない、調停前置主義
を採ります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/調停.jpg)
これは、紛争が解決した後でも、親子や親族と
いった関係が続くことを踏まえて結果だけを
すべてとしていないことの現れです。
つまり、望ましい紛争解決は、申立ての背景にある
人間関係の調整で、訴訟で明確に白黒をつけるより
も、調停からスタートさせる方が、
当事者間の関係改善には有効だと考えられるのです。
なので、同性カップルがパートナーシップ
を解消して行う、共有物分割は
調停前置主義が採られず、泥沼化に向かう
ことも十分に考えられます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/02/マスオさん.jpg)
また、共有物の分割した後に起き得るトラブルにも
注意が必要です。
2.共有物の分割による責任とは…
共有物の分割は、いわば持分権の売買・交換に
相当します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/売買.jpg)
このことから、各共有者は、他の共有者が
分割により取得した物に瑕疵(欠陥)が
あったり、分量が不足していたような
場合、持分に応じて、売主と同様の責任を
負います。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/06/責任.jpg)
また、この責任については、分割が裁判
などで決定した場合でも発生します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/12/受け取れない.jpg)
ですので、そのような事態があったときに
両者が負う責任の範囲もある程度は
決めておくことの方が無難ということに
なります。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
同性カップルが法律上の夫婦ではないこと
から、パートナーシップ解消により、
共有物の分割や財産分与をする場合、
本格的な民事事件として進めていくことも
考えられることから解決方法がドライな
内容になり、当事者間の人間関係の改善を
優先した解決を図りにくいものです。
なので、事前にパートナーシップ契約や、
各財産について何かしらの契約を書面化
して、そのような事態に備えて予防する
ことは重要といえます。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/同性で書面化.jpg)
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