同性カップルでパートナーシップ契約を
結ぶ場合、生活において、法律上の配偶者
とできるだけ変わらない権利義務関係を
築くことを予定しています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/婚姻.jpg)
その契約において、離婚について触れる
ことが想定されます。
正確には、
パートナーシップ契約の解除
の話です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/別れ.jpg)
まず、お互いの合意があればいつでも解除できる、
いわゆる「合意解除」が考えられます。
「別れましょう。」
「そうしましょう。」
というイメージです。
このケースは、両方別れる意思がある点で気持ちが
一致している以上、財産分与の問題は残るものの、
別れる・別れないで揉めているわけではないので、
比較的に穏やかです。
では、カップルの一方から相手方に別れを
切り出す(パートナーシップ契約を解除
する)場合、どのような事由をその要件に
するかが問題になります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/離婚3.jpg)
浮気や価値観の不一致など言い出したら
キリがないのが通常です。
そこで、民法上で掲げられている
「裁判上の離婚」の規定を参照にする
ケースが多いです。
これは、相手方が話し合いで離婚に合意
してくれない(協議離婚が成立しない)
場合、裁判手続で離婚する内容の考えを
前提にしています。
ただ、どんな理由でも当てはまるわけでは
なく、その事由は限定的です。
①不貞行為(浮気・不倫)
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/浮気2.jpg)
配偶者のある者が、自由な意思に基づいて
配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合を想定
しています。
ただし、夫婦仲が破綻した後に不貞行為が
始まった場合には、離婚が認められないおそれが
あります。
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の
見込みがないこと
配偶者の精神障害の程度が、夫婦互いの協力義務を
十分に果たし得ない場合を想定しています。
ただ、そんな時こそ支えるべきだろうという考えも
あるので、離婚を求める配偶者が誠意ある
介護・看護をしてきたことや、
障害のある配偶者に対する離婚後の療養生活の保証
があるといった事情がないと
離婚は難しいといえます。
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
①~④に該当しなくても、夫婦仲が破綻していて、
回復の見込みがない場合を想定しています。
ここで、
②悪意の遺棄、
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
が、曖昧な感じがしますよねぇ。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/疑義.jpg)
では、一体どのような離婚事由をさすので
しょうか。
1.離婚事由にいう「悪意の遺棄」とは…
離婚するに至る「悪意の遺棄」とは、
配偶者が正当な理由なく、他方の配偶者
との同居を拒む、協力しない、
他方配偶者と同一程度の生活を保障して
くれない、といった場合を指します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/放置プレイ.jpg)
イメージ的には、わざと(故意に)相手を放る
ような行為をいいます。
つまり、夫婦の三大義務である、
同居義務・協力義務・扶養義務を守ろうと
思えば守れるのに怠った状況です。
働こうとしない、
理由もなく生活費を渡さない、
配偶者の帰宅を妨害する、
家を出て別のマンションに住み始めた、
などが挙げられます。
2.婚姻を継続し難い重大な事由は、何でもありではない!
婚姻を継続し難い重大な事由は、様々な
ケースが考えられます。
・性格の不一致
もちろんこれのみでは実際足りませんが、
別居などの破綻原因があれば、離婚が認められる
余地はあります。
・勤労意欲の欠如(配偶者が怠惰・真面目
に働かない)
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/ナマケモノ.png)
・親族との不和
例えば、夫が妻と夫側の親族との不和に無関心な上
に、親族に同調し、円満な夫婦関係の実現に努力
する態度が見られない場合が当てはまります。
・暴力・虐待(DV)
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/10/DV-300x157.jpg)
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/08/女尊男卑-1-300x150.jpg)
・性交不能・性交拒否・性的異常
例えば、夫婦の離婚では、夫がポルノ雑誌に示す
興味が尋常ではなく、妻との性交渉を拒否する
などの事例が存在します。
・過度な宗教活動の専念により、夫婦関係
を破綻させる
・アルコール中毒・薬物中毒・難病など
重度まではいかない精神障害や、難病・重度の
身体障害によって、夫婦関係が破綻している場合
を指します。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/01/アルコール依存症.jpg)
ただ、上記に掲げる離婚事由である、
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みが
ないことと、同様に、
離婚を求める配偶者が誠意ある介護・看護を
してきたことや、障害のある配偶者に対する
離婚後の療養生活の保証があるといった事情がない
と離婚は難しいといえます。
・犯罪・服役
犯罪・服役の事実のみをもって離婚が認められる
という意味ではありませんが、
配偶者の名誉が傷つけられる、家族の生活に困難を
もたらしたなどの事情がある場合は、
離婚できる可能性はあります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/10/受刑者.jpg)
離婚ができるかどうかは、個別事情により
決まるので、上記以外の事情でも、
夫婦関係が破綻するステージに至れば、
離婚が認められる可能性はあります。
また、離婚原因をつくった側からも、離婚
請求することができる場合もあります。
3.破綻原因がある側から離婚できる場合もある!
離婚を検討する際、夫婦関係の破綻原因が
離婚を請求する側にある、
つまり、有責配偶者は、原則として、離婚
の請求は認められません。
ただし、例外的に以下の3つの条件を
満たしているときは、有責配偶者からの
離婚請求が認められる場合があります。
・夫婦の別居が両当事者の年齢及び
同居期間と比較して、かなり長期間に
及んでいること
・当事者の間に未成熟の子どもが存在
しないこと
・相手方配偶者が離婚により精神的、
社会的、経済的に非常に苛酷な状況に
置かれることになるなど、離婚請求を
認めることによって相手方が大きな
ダメージを受けるような事情がないこと
実際には、金銭的な清算により解決
できればそれでよいという思想が
ありそうですねぇ。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2018/05/清算.jpg)
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
同性カップルのパートナーシップ契約に
あたり、解除事由を考える際には、
そもそも離婚事由が何たるかを検討する
必要があります。
また、離婚問題は、夫婦の一方が当事者で
あるという場面においても、出てくる
テーマなので、LGBTと離婚は無関係とは
いえないですねぇ。
コメントを残す