同性カップルで、同居生活や、パートナー
の死亡時の財産の権利関係において、
書面にしておくことがあります。
例えば、
パートナシップ契約、
遺言、
死後事務委任契約、
任意後見契約、
民事信託契約
(法律外婚姻支援信託契約等)、
連帯保証契約
等々があります。
上記では、任意後見契約のように公正証書
でしなければならない書面以外では、
私文書で書面化する方法も考えられます。
しかし、一般的には、
公正証書の方が薦められています。
そもそも、公正証書を作成する公証人とは、
裁判官や検察官のOB職であり、法務大臣によって
任命される者です。
なので、そのような法律の専門家である公証人に
よって作成される公正証書は、私文書と異なり、
国の機関が作る文書として扱われることが
安全・信用の面では大きいのです。
公正証書の原本は、公証役場で厳重に保管
されるので、紛失や偽造、変造のおそれが
ないことが安全なのです。
そして、公証人は法律に違反するものや、
無効な法律行為による証書は作ることが
できません。
また、当事者双方の本人確認も厳格に
行われるので、内容的に安全な契約が
できるのです。
私文書よりは良いのは、もちろんこれらのこと
だけではなく、もっと込み入った理由があります。
そして、その理由を反対に捉えると、
私文書のデメリットでもあるのです。
では、どのような理由で公正証書の方が薦められる
のでしょうか。
1.公正証書と私文書との証拠力の差とは…
仮に裁判で争った際に、文書が真正に成立
したものであるのかどうか、
つまり、作成者の意思に基づいて作成
されたものであり、他人が偽造したもの
ではないか(形式的証拠力)を判断する
場合、公正証書と私文書で違いが出ます。
一般的に、私文書の場合、その成立が真正
であることを証明するには、
「その文書は偽造だ!」と主張された側が
「偽造ではないこと」を立証する必要が
あります。
それに比べ、公正証書は、公務員が職務上
作成した文書なので、民事訴訟上、真正に
成立した公文書であると推定されます。
これは、反証がない限り、公正証書は
真正な文書だと扱うことになりますので、
「その文書は偽造」だと主張する側に
偽造であることの立証責任があります。
そして、文書の内容が真実であるかどうか
(実質的証拠力)は、裁判官の自由心証に
より決まります。
また、金銭トラブルが起きた際に、強制執行の
手続においても、公正証書と私文書で違いが
あります。
2.金銭の支払で裁判の要否が分かれる!
当事者の相手方が契約違反を起こした
場合、直ちに強制執行する旨と債務者が
直ちに強制執行に服する旨の陳述
(執行受諾文書)の記載がある公正証書
(執行証書)であれば、その公正証書は
裁判所の判決と同等の執行力を持ちます。
通常、契約に関して紛争が起きた場合、
民事訴訟を提起し裁判所で勝訴判決が
あって債務名義を得て、強制執行という
民事執行手続を行う必要があります。
しかし、執行証書であれば、
裁判を行わなくても、
執行力があります。
ただ、執行証書は、請求内容が金銭の支払
や有価証券の給付などの内容に限定されて
いますので、すべての契約内容に執行力を
持たすことができるというわけでは
ありませんので、注意が必要です。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
公正証書による契約は、当事者本人、又は
その代理人が公証役場に出向いて、
本人確認書類の提出や契約内容の聴取・
確認を行い、署名・捺印という流れに
なります。
公証役場に出向く点では、一般的な私文書
での契約と大きく異なります。
より厳密な契約書ということもあって、
一般の契約とは違い手間や費用がかかる点
と訴訟の際の効力が強い点があります。
とはいえ、裁判での効力は双方に有効
なので、契約内容の信用性や安全面は高い
ものになる契約である以上、安心して契約
することができます。
あなたもカップル間での取り決めの書面化
について、同じようなことでお悩みでは
ないでしょうか。
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