同性カップルでパートナーシップ契約を
結ぶ場合、生活において、法律上の配偶者
とできるだけ変わらない権利義務関係を
築くことを予定しています。
その契約において、離婚について触れる
ことが想定されます。
正確には、
パートナーシップ契約の解除
の話です。
まず、お互いの合意があればいつでも解除できる、
いわゆる「合意解除」が考えられます。
「別れましょう。」
「そうしましょう。」
というイメージです。
このケースは、両方別れる意思がある点で気持ちが
一致している以上、財産分与の問題は残るものの、
別れる・別れないで揉めているわけではないので、
比較的に穏やかです。
では、カップルの一方から相手方に別れを
切り出す(パートナーシップ契約を解除
する)場合、どのような事由をその要件に
するかが問題になります。
浮気や価値観の不一致など言い出したら
キリがないのが通常です。
そこで、民法上で掲げられている
「裁判上の離婚」の規定を参照にする
ケースが多いです。
これは、相手方が話し合いで離婚に合意
してくれない(協議離婚が成立しない)
場合、裁判手続で離婚する内容の考えを
前提にしています。
ただ、どんな理由でも当てはまるわけでは
なく、その事由は限定的です。
①不貞行為(浮気・不倫)
配偶者のある者が、自由な意思に基づいて
配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合を想定
しています。
ただし、夫婦仲が破綻した後に不貞行為が
始まった場合には、離婚が認められないおそれが
あります。
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の
見込みがないこと
配偶者の精神障害の程度が、夫婦互いの協力義務を
十分に果たし得ない場合を想定しています。
ただ、そんな時こそ支えるべきだろうという考えも
あるので、離婚を求める配偶者が誠意ある
介護・看護をしてきたことや、
障害のある配偶者に対する離婚後の療養生活の保証
があるといった事情がないと
離婚は難しいといえます。
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
①~④に該当しなくても、夫婦仲が破綻していて、
回復の見込みがない場合を想定しています。
ここで、
②悪意の遺棄、
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
が、曖昧な感じがしますよねぇ。
では、一体どのような離婚事由をさすので
しょうか。
1.離婚事由にいう「悪意の遺棄」とは…
離婚するに至る「悪意の遺棄」とは、
配偶者が正当な理由なく、他方の配偶者
との同居を拒む、協力しない、
他方配偶者と同一程度の生活を保障して
くれない、といった場合を指します。
イメージ的には、わざと(故意に)相手を放る
ような行為をいいます。
つまり、夫婦の三大義務である、
同居義務・協力義務・扶養義務を守ろうと
思えば守れるのに怠った状況です。
働こうとしない、
理由もなく生活費を渡さない、
配偶者の帰宅を妨害する、
家を出て別のマンションに住み始めた、
などが挙げられます。
2.婚姻を継続し難い重大な事由は、何でもありではない!
婚姻を継続し難い重大な事由は、様々な
ケースが考えられます。
・性格の不一致
もちろんこれのみでは実際足りませんが、
別居などの破綻原因があれば、離婚が認められる
余地はあります。
・勤労意欲の欠如(配偶者が怠惰・真面目
に働かない)
・親族との不和
例えば、夫が妻と夫側の親族との不和に無関心な上
に、親族に同調し、円満な夫婦関係の実現に努力
する態度が見られない場合が当てはまります。
・暴力・虐待(DV)
・性交不能・性交拒否・性的異常
例えば、夫婦の離婚では、夫がポルノ雑誌に示す
興味が尋常ではなく、妻との性交渉を拒否する
などの事例が存在します。
・過度な宗教活動の専念により、夫婦関係
を破綻させる
・アルコール中毒・薬物中毒・難病など
重度まではいかない精神障害や、難病・重度の
身体障害によって、夫婦関係が破綻している場合
を指します。
ただ、上記に掲げる離婚事由である、
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みが
ないことと、同様に、
離婚を求める配偶者が誠意ある介護・看護を
してきたことや、障害のある配偶者に対する
離婚後の療養生活の保証があるといった事情がない
と離婚は難しいといえます。
・犯罪・服役
犯罪・服役の事実のみをもって離婚が認められる
という意味ではありませんが、
配偶者の名誉が傷つけられる、家族の生活に困難を
もたらしたなどの事情がある場合は、
離婚できる可能性はあります。
離婚ができるかどうかは、個別事情により
決まるので、上記以外の事情でも、
夫婦関係が破綻するステージに至れば、
離婚が認められる可能性はあります。
また、離婚原因をつくった側からも、離婚
請求することができる場合もあります。
3.破綻原因がある側から離婚できる場合もある!
離婚を検討する際、夫婦関係の破綻原因が
離婚を請求する側にある、
つまり、有責配偶者は、原則として、離婚
の請求は認められません。
ただし、例外的に以下の3つの条件を
満たしているときは、有責配偶者からの
離婚請求が認められる場合があります。
・夫婦の別居が両当事者の年齢及び
同居期間と比較して、かなり長期間に
及んでいること
・当事者の間に未成熟の子どもが存在
しないこと
・相手方配偶者が離婚により精神的、
社会的、経済的に非常に苛酷な状況に
置かれることになるなど、離婚請求を
認めることによって相手方が大きな
ダメージを受けるような事情がないこと
実際には、金銭的な清算により解決
できればそれでよいという思想が
ありそうですねぇ。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
同性カップルのパートナーシップ契約に
あたり、解除事由を考える際には、
そもそも離婚事由が何たるかを検討する
必要があります。
また、離婚問題は、夫婦の一方が当事者で
あるという場面においても、出てくる
テーマなので、LGBTと離婚は無関係とは
いえないですねぇ。
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