友情結婚の選択肢。偽装結婚だなんて言わせない!

LGBTSOGI(性的指向・性自認)

関する人権の取組みが進み、

婚姻の平等の実現のために同性婚の制度化

に向けてその訴訟が提起されていますが、

一方、友情結婚を希望・選択される方々も

存在します。

 

 

友情結婚とは、恋愛関係にない者同士が

お互いの利害や考え方・価値観の一致など

によって、たとえ性愛はなくても、友情や

友情以上の愛情で、お互いにwin-winな

婚姻を結ぶことをいいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

異性との性的関係を望まない方にとって、

お互いに満足する結婚の形をとるために

友情結婚を選択することは

十分に考えられます。

 

 

もちろん、自分のセクシュアリティを

隠し、異性愛者として結婚生活を送る選択

をされる方も存在します。

 

また、自分のセクシュアリティを異性愛と

自覚されていても、結婚されてからや

交際を始めた後になって、自分の本当の

セクシュアリティに気づく方や、

手をつなぐことや性的なことに抵抗がある

ことに気づく方も存在します。

 

 

異性との性的行為ができない・したくない

といった事情や、性的対象に見られること

に嫌悪感があるといった事情の下で、

友情結婚を選ぶことは、本来婚姻関係も

多種多様であるべきと考えられるので

あれば、尊重されるべき選択肢と

いえます。

 

 

友情結婚は、性行為がないこと以外には、

一般の結婚と何ら変わらず、当事者が

互いに尊重の念をもって信頼関係を

築き上げていく点も共通事項なのです。

 

 

とはいえ、いわゆる「偽装結婚」と何が

違うのかや同じ扱いにされないために

どうすればよいかや、

友情結婚を選択するための判断基準

もし結婚がうまくいかず離婚に至ったとき

のためにどう備えるか

などの様々な疑問が浮かびます。

 

 

 

 

 

 

 

では、友情結婚を選択するにあたり、

何に注意しなければいけないので

しょうか。

 

 

1.友情結婚が偽装結婚にならないためには…

法律上、婚姻が成立するには、

戸籍の届出をする意思の存在

婚姻意思の存在

の2つの要件が必要になります。

 

この要件が欠けてしまうと、法律上、

婚姻は無効になります。

 

 

ここで、②にいう、婚姻意思とは何なのか

が問題となります。

 

 

 

 

 

 

婚姻意思がないというのは、婚姻が

何か特定の目的を達するための便法として

仮託されたものにすぎない場合をいい、

いわゆる偽装結婚です。

 

 

偽装結婚は、

消費者金融で借金を繰り返すために姓を

変えたり、

外国人が在留資格取得のために結婚する、

といったケースには該当しますが、

友情結婚が偽装結婚になるというわけでは

ありません

 

 

ただ、離婚前提とするような流れで

結婚相手を募集するようなことは、

偽装結婚に当たる可能性が出てきますが、

信頼関係に基づいてお互いに歩み寄る姿勢

があれば、偽装ではなく、

絆で結ばれた結婚といえます。

 

 

ちなみに、本格的な偽装結婚は婚姻として

無効になるだけではなく、

公正証書原本不実記載等罪という文書偽造

の罪に問われる可能性もあるので、注意が

必要です。

 

 

 

 

 

 

この罪は、公務員に対し虚偽の書類によって申立て

をし、公務員に不実の記載をさせることが有罪と

なるので、婚姻意思のない婚姻届を役所に提出した

時点でその罪に問われる可能性があります。

 

 

また、友情結婚をするにあたり、

冠婚葬祭の時だけ夫婦を演じるような

関係も、リスクがあります

 

 

たしかに、夫婦の実態が当事者間でしか

分からなければ大丈夫で、冠婚葬祭の場面に

なると親戚付き合いが付きまとうので、

その時だけ夫婦を演じるという発想も

浮かびそうですが、

冠婚葬祭の内容やしきたりなどは、地域によって

差があるので、一時的に夫婦を演じれば

その場しのぎになるというわけではありません。

 

 

 

 

 

例えば、地方になると良い意味でも悪い意味

でも地域住民の結束が強いので、

どこの家が何人家族で何の仕事をしているとか

など、その辺一帯に住む住人は、

それぞれの家の事情を皆知っているという事情

は、十分にあります。

 

そのような地域でいざ冠婚葬祭をいざ執り行う

なれば、その地域に住む人が何十人も公民館や

集会所に押し寄せるような事態が容易に予想が

つきます。

 

地方の住人ほど、本当にお互いをよく見ている

ので、その場だけ愛想笑いをしたり、

適当にやり過ごしたりして、さっさと帰って

しまって次の日から元の生活に戻りたいという

ような考えは、すぐに見抜かれてしまいます。

 

 

ちなみに、相手方と同居するか、

別居婚(通い婚)にするかで、夫婦の実態

に関して支障を来すか否か分かれるように

思えそうですが、

決してそうではありません。

 

婚姻届を提出したからといってすぐに同居

考えなくても、異性同士であっても性交渉をしない

関係であれば別居婚(通い婚)という選択も十分に

考えられます

 

お互いの生活環境を知りながら時間の経過や

子どもの成長、親の介護など、

将来変化しうる様々な状況の中で安住の地を

手に入れたい思った時に同居を始めても問題ないと

個人的には思います。

 

単に漠然と「結婚する以上は同居」、

「見た目が普通な夫婦のように生活」と

向かっていくよりも、実際に同居すると

何がどうなるかのシミュレーションしておく方が、

離婚のリスクを下げることに繋がります。

 

 

夫婦になるということは、同居・別居を

問わずお互いを思いやり、助け合うことに

変わらず、そもそも生活環境自体も個々の

夫婦のものです。

 

お金の管理や家事の分担、お互いの親の

ことなど、いざ結婚生活が始まると解決

しなければならない問題は

たくさん出てきます。

 

 

 

 

 

 

そして、お互いの信頼関係に基づいて

友情結婚をする上であっても、

一般的な夫婦と比較すると、上記のように

婚姻生活に関する約束事を決めておきたい

と思うことも多く、

夫婦財産契約書(婚前契約書)

取り交わすことが有効的といえます。

 

 

では、夫婦財産契約(婚前契約)とは、

どういった契約なのでしょうか。

 

 

2.夫婦財産契約書(婚前契約書)を取り交わす意義とは…

日本では現在、結婚するにあたって

夫婦財産契約書(婚前契約書)

取り交わすのは、かなりの少数派です。

 

これは、日本における

夫婦財産契約(契約財産制)の認知度の

低さと、

「夫婦間で契約なんて水くさい」という

風潮が根強いからです。

 

ただ、友情結婚に限らず、国際結婚、

シングルマザー、内縁・事実婚など、

夫婦や家庭のかたちが多様化する現代に

おいては、重要性を増しています

 

 

結婚生活で相手に守ってほしいことや、

お互いに努力していく目標、お金の使い方

などについて、結婚前にパートナーと夫婦

の本質といった根本部分まで、

幅広く話し合うことになります。

 

 

 

 

 

 

そもそも夫婦の財産関係については、

第一に夫婦間で決定(夫婦財産契約)

でき、

夫婦財産契約がなされなかった

ときは、民法上の規定(法定財産制)に

従うことになります。

 

 

夫婦財産契約は、婚前契約とも呼ばれる

ように、婚姻の届出前までにする必要が

あり、その登記をしなければ、

夫婦財産契約の内容について、

夫婦の相続人や第三者にその権利を主張

することができなくなります。

 

これは、第三者に夫婦の財産関係の存在や

内容を分かるようにし、公示される状態に

することで、取引の安全を図るためなの

です。

 

 

婚姻の届出後は、原則として、

夫婦財産契約の内容を変更することは

できません

 

ただ、例外的に、管理者の変更や共有財産

の分割について、

夫婦財産契約であらかじめ定められている

場合や、それが家庭裁判所の調停・審判に

よって認められた場合は、契約の内容を

変更できます。

 

 

 

 

 

 

その場合でも、その内容が変更された旨の

登記をしなければ、上記と同様の趣旨で、

夫婦の相続人や第三者にその権利を主張

できません。

 

 

ちなみに、夫婦財産契約をしない場合の

法定財産制には、

夫婦の財産の帰属・管理、

婚姻費用の分担、

日常家事に関する債務の連帯責任、

について民法上規定されています。

 

夫婦の一方が婚姻前から有する財産や

婚姻中に自己の名で得た財産は、

特有財産となります。

 

特有財産とは、以前の記事でも触れたことがある

ように、

パートナーと別れを決断!財産分与ってどうするの?

2019年8月21日

 

配偶者と無関係に取得した財産をいい、原則として、

離婚時の財産分与の対象になりません。

 

夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、

夫婦の共有であるものと推定されます。

 

婚姻費用の負担については、その資産、収入その他

一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担

するものとされています。

 

夫婦の日常家事に関しては、以前の記事でも触れた

ことがあるように、

LGBT話題でカップルが同居生活する際。夫婦の日常家事債務の規定を考えると…

2018年8月31日

 

夫婦の一方が、第三者と法律行為をしたときは、

他方はこれによって生じた債務につき連帯責任を

負うものとされ、その前提として、

夫婦相互に法定代理権が認められると解されて

います。

 

夫婦財産契約(婚前契約)を結ぶことは、

自分たちの未来像を具体的に

シミュレーションすることなので、

それ相応に現実を思い描くことで事前に

対策を練るだけではなく、相手の考えや

価値観を理解し、夫婦の絆を強めるのにも

役立ちます

 

 

ここで、夫婦財産契約(婚前契約)では、

夫婦がお互いにどうしていくかのことに

ついての約束事ですが、

同性パートナーがいたり、子どもを

もったりされる場合に、

関係性などで注意しなければならないこと

があります。

 

では、どういったことなのでしょうか。

 

 

3.同性パートナーがいたり、子どものことは…

友情結婚を考えられる夫婦は、夫婦お互い

が性交渉をもたない関係である以上、

夫婦の一方又は双方が同性パートナー

つくったり、既にパートナーがいるケース

が考えられます。

 

 

その中には、同性カップル2人対異性1人

という構図になることもあり得ます。

 

その場合、同性カップルの方は、積極的に

異性1人の意見や希望の受入れを重要視し、

3人が対等な関係になれるよう心がける

ことが重要だと思います。

 

最悪なパターンは、同性カップル同士で

異性1人の方を品定めしたり、劣位に見る

ような姿勢なので、それは禁物です。

 

 

 

 

 

例えば、

「本来だったら私たちが夫婦で子どもの父母のはず

だけど、身体の構造上なし得ないので、

仕方なくその役割を形だけしてくれれば

それでいい。」、

「入籍もしないし老後の面倒も見ないけど、

子どもは欲しいのでその役割をして、定期的に

子どもに会いに来てくれればそれでいい。」

というような考えです。

 

同性カップルが優位で異性1人がその同性カップルの

幸せのために犠牲的・献身的な生活を強いられる

ような関係ではなく、同性カップルの方にとって

異性1人の方がいるから生活ができているという

感謝の念を忘れず接していくのが望ましいように

思えます。

 

 

もし、自分が女性で子どもをもつ場合、

相手方がパートナーを作ることを容認して

しまうと、育児・子育てで大変な時期や

体調が悪い時にも相手方に頼れずに、

全部1人で抱えなければならない事態も

あり得ます。

 

 

パートナーの存在を了承してもらっている相手方に

とって、会いたい時にはパートナーに会いに行く

しょうし、結婚後に相手方が自分に協力して

くれない理由で離婚に持ち込むのは筋違いだろうと

いう展開も十分に考えられるのです。

 

 

また、同性カップル同士4人で、

男女が入籍し、4人で協力して子育てを

しながら一緒に生活していく考えの方も

おられますが、注意することがあります。

 

 

 

 

 

 

 

夫婦2組である以上、4人のうち

2人が扶養する側、2人が扶養される側に

なることが見込まれますが、

扶養する側の2人の給料も異なるので、

それに伴って控除額も異なります。

 

扶養される側も、パートで働いているのか

専業で家事をされているかで、控除額

異なります。

 

 

ほかにも、4人のうちの誰かの親の介護事情や、

加齢とともに本人が病院受診することが増えることも

ありますし、

一方の男女が子どもを授かったものの、

他方の男女はなかなか子どもを授からないことも

あります。

 

そして、生命保険の加入状況の違いから

も、お金のシビアな問題に発展することも

考えられますので、

4人が仲良く公平に生活していくためには、

扶養や人生の危機に瀕した時に守って

くれる基盤が整っているかは、重要な要素

なのです。

 

 

 

 

 

面倒なことから逃げてとりあえず仲良くワイワイ

やりたいという考え方では、いざという時に

手の施しようがない事態になり、

4人全員が不幸の道をたどることもあり得ます。

 

 

友情結婚といっても結婚である以上、

サークル活動のように、楽しい毎日が

過ごせるものでもなく、都合が悪くなった

からや、そこに居づらくなったことを理由

に、辞めたり抜けたりすることができる

わけではありませんので、

カップル同士の共同生活では4人が

運命共同体である認識をしっかり持った

行動が大切です。

 

 

4.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

友情結婚にも、その後の結婚生活で

起こり得ることを色々考えると、

様々な難題があります。

 

 

SOGI(性的指向・性自認)の人権の

取組みが進み、日本でも同性婚が制度化

されるための動きがある中で友情結婚

される方をまるで敵前逃亡のような表現を

される方もおられますが、

私は婚姻や共同体の多様性が進む現代

だからこそ尊重されるべき選択肢だと

思います。

 

 

また、友情結婚をされるにあたり、

入籍されるか、しない(内縁・事実婚)

かの選択をどうするか考えることも

ありますが、以前の記事でも触れたことが

あるように、

内縁・事実婚の相続・生前対策は、同性カップルの事情より大丈夫は勘違い!

2018年10月17日

 

法律上の配偶者と同様に制度や法の適用が

受けられるのかそうでないかを注意する

必要があります。

 

 

あなたも友情結婚の選択や、

友情結婚する際にどのような対策を

講じたら良いのかといった点でお悩みでは

ないでしょうか。

 

いまいちピンと来られていない方は、

ご自身で悩み判断せず、

是非お問い合わせください。

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