医療の同意・決定を同性パートナーに託すとき。何に注意しないといけないのか…

例えば、同性カップルの方々で、

お互い自分自身が昏睡状態などになって、

意思確認ができなくなった場合に、

医療行為の開始・不開始、医療内容の

変更、医療行為の中止などの決定権を、

パートナーに託すことはできるのかという

問題があります。

 

 

このような終末期医療の決定については、

厚生労働省による「終末期医療の決定

プロセスに関するガイドライン」に沿って

運用されています。

 

 

まず、患者本人による決定を基本とし、

患者の意思を確認できない場合には、

家族が患者の意思を推定できるときは、

その推定意思を尊重する扱いになって

います。

 

 

そして、ここにいう「家族」に

同性パートナーが含まれるのかどうか

という疑問が浮かびます。

 

 

 

 

 

 

 

 

このガイドラインにおいて、家族というのは、

「家族とは、患者が信頼を寄せ、終末期の患者を

支える存在であるという趣旨ですから、

法的な意味での親族関係のみを意味せず、

より広い範囲の人を含みます。」と説明されて

います。

 

 

このことから、法的な家族に匹敵する程度

の十分な信頼関係が認められる関係性で

あれば、法的関係の有無に限らず、家族に

該当する可能性はあります。

 

 

なので、同性パートナーであっても、

長年同居していたり、同居はして

いなくても長年連れ添っていたりする事情

などがあり、お互いに深い信頼関係が

認められるようなケースであれば、

「家族」に該当することは十分に

考えられます

 

 

よって、終末期医療において、自分自身の

意思を代弁する者として、

同性パートナーの意思が尊重される

可能性はあるのです。

 

 

しかしながら、実際の運用自体は、現場に

委ねられるため、医療施設・医療の方針に

応じて対応は区々になる傾向があります

 

 

 

 

 

 

 

また、親族によりパートナーの意向が無視

される可能性もあります。

 

 

このような事態に備えるには、お互いの

関係が「家族」に該当するものであること

を理解してもらうための手段として、

書面を事前に作成する

ことが有益だといえます。

 

 

 

 

 

 

では、どのような形態の書面を作成すれば

良いのでしょうか。

 

 

1.医療同意契約書・パートナーシップ契約書などの作成が有益!

本人が自己の意思を表明できなくなった

場合に備え、医療同意権を同性パートナー

に委ねるには、

第一に、「医療同意契約書」の作成が

考えられます。

 

 

また、パートナーシップ契約書を作成する

際に、医療同意に関する条項を含めておく

方法もあります。

 

 

パートナーシップ契約書は、

お互いが男女婚姻関係に匹敵する真摯な関係性で

あることを定める書面なので、

医療同意に関する条項を明記していなくても、

お互いの関係が「家族」に該当するものであること

を第三者に理解させるのに有益だという考え方も

ありますが、より安全に備えるには、

医療同意に関する条項は明記した方が良いです。

 

 

また、これらの書面は私文書で作成

しても、契約の効果は生じますが、

証明力を高めるためにも、

公正証書で作成する

方が望ましいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

では、任意後見契約の公正証書の作成

では、医療同意に関して備えることが

できないのでしょうか。

 

 

2.任意後見契約では、医療同意については対象外!

任意後見(後見制度)は、以前の記事でも

触れたことがあるように、

同性カップルの将来のことで任意後見制度の話題がよく挙がるが、そもそも保護者の制度とは…

2018年3月21日

 

 

本人が、自分で物事を判断する力が衰えて

しまった場合に、サポートする制度です。

 

 

 

 

 

 

 

任意後見人の立場として、本人のために

行うのは、財産管理身上監護です。

 

 

この範囲は、費用の支払や不動産の処分などの

お金の管理や、施設や入院先の選定・契約などの

生活の場の確保を指します。

 

 

しかし、医療行為における同意権は

ありません

 

 

 

 

 

 

 

なので、任意後見契約の内容に、

パートナーに終末期医療の同意権を付与

することはできないのです。

 

 

では、ほかに医療同意を踏まえると、

どのような制度があるのでしょうか。

 

 

3.緊急な場合には…

お互いのパートナーシップ関係を示すため

に、自治体が証明する

パートナーシップ証明を活用するのも、

医療同意においては有用的です。

 

 

 

 

 

 

 

自治体により手続内容は様々ではある

ものの、公の機関に認められている以上、

お互いの関係が婚姻に匹敵する真摯な

関係性であることを第三者に理解して

もらいやすくなります。

 

 

また、本人が、緊急時の連絡先として

パートナーの連絡先・終末期医療の同意を

パートナーに委ねる旨を記載した

緊急連絡先カードを財布などに入れて携帯

しておくことも考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、医療同意契約書や

パートナーシップ契約書などと比較すれば

証明力は劣るものの、突然の事故や病気

などで意識不明になった場合にパートナー

の存在とパートナーに医療の同意を

委ねたい意思を取り急ぎ第三者に知らせる

方法として一定の効果は期待できます。

 

 

4.まとめ

いかがだったでしょうか。

 

医療行為は身体を傷つけるリスクも伴う

ため、医療同意はシビアな考え方では

ありますが、家族による医療同意権の行使

自体は法的な根拠が明確ではない分、

同性パートナーに認められないわけでは

ないのです。

 

 

あなたもカップルにおける医療行為の

同意権・決定権について、同じような

ことでお悩みではないでしょうか。

 

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