LGBTの当事者の方が、
単身用物件を一人入居の条件で
賃貸借契約をして家に住んでいます。
その後、その方が、大家には内緒で、
同性パートナーと同居するようになったと
します。
わざわざ別の物件を新しく探すことも手間
であり、
結局貸主にバレないようにすれば
大丈夫だろうと思い、
同居することって意外にあり得ますよねぇ。
しかも、貸主にパートナーの出入りを
見られたところで、
友達が遊びに来ているという設定にすれば
大丈夫だろうと考えるのも
分からなくもないです。
しかし、連日の様子を見れば、
貸主もさすがに連れてきている友達では
なく、
他の者を勝手に入居させている、
というふうにバレるのって本当に時間の
問題なんです。
意外に貸主って見てないようで見てるん
です。
自分の所有物を人に貸している身なので、
自分の物がルールに従って使用されている
かということを
大きく意識しているんです。
そして、
貸主にパートナーとの同居を
知られてしまい、
貸主から契約違反を理由に
解除され退去を要求されることに
なり得ます。
では、そうなれば即座に出て行かなければ
ならないのでしょうか。
1.賃貸借で契約違反をしたから退去させられるのは当然というわけではない!
たしかに、取引の契約たるものは、
信義誠実に則って、
その内容を守るべき義務があり、
違反した場合に契約を終了(解除)させられる
のは、特に疑問視することではありません。
契約時に一人入居の条件で借りていた物件
に、
事後的に同性パートナーが同居するように
なった場合は、同居させていることが
物件の用法に違反していることになり、
それは、借主の賃貸借契約における
債務不履行になります。
しかし、
不動産の賃貸借契約(特に居住用)
は、借主保護の要請が強いので、
即座に解除されるというわけでは
ありません。
貸主・借主の当事者双方の信頼関係が重視
されるので、他の諸事情をも考慮して
賃貸人との間の信頼関係が
破壊されるステージに至ったときに、
賃貸人からの解除が認められます。
ほかに、人が住む条件を違反することには
どのようなケースがあるでしょうか。
2.同性パートナーから賃料を受け取っているとしたら…
単にパートナーと同居しているだけで
なく、
そのパートナーから賃料を継続的に領収
していた場合、無断転貸に該当することが
考えられます。
いわゆる又貸しというものです。
しかし、この場合も、
それを理由に賃貸人からの契約解除を
認められるかどうかは、
他の諸事情とを総合的に考慮して
賃貸人との信頼関係が破壊されたといえる
かどうかが鍵になります。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
賃貸借契約の内容に違反したからと
いって、
賃貸人から「今すぐ出ていけ」と
いう要求に必ずしも応じる必要が
あるわけではありません。
貸主・借主の間の信頼関係の破壊に至るか
どうかも、事案により様々です。
また、本来貸主の承諾が必要なことをして
いるにもかかわらず、
無断でした場合においても、
貸主が知っていながらや、
知ることが十分にできた、
にもかかわらず、
その状況を放置していたことが、
「黙示的な承諾」があったといえる
ケースもあり得ます。
賃貸借で契約違反はいけないことですが、
何でもかんでも解除が認められるとは
限らず、信頼関係が重要なので、
普段から貸主との良好な関係を築いておく
ことをおすすめします。
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