異性・同性どうしであっても、
カップルが互いに似ている、
長年付き合っているから似てくる、
とかいわれる場面があります。
おしどり夫婦、
ゲイカップルで似た者同士な
ガチムチ系、
レズビアンカップルで見た目がどちらも
ワイルドなバリタチ系で似ていたり、
また、人間だけでなく、
ペットを飼ってて、その溺愛している
ペットが飼主に似ているなど、
一緒に長く居続けると似てくるものなのか
という謎があります。
特にペットで言えば、
パグ、チワワ、ブルドッグとかが
良い例かもしれません。
ただ、結論から言ってしまえば、
「顔が似てくる」のではなく、
実は「自分とよく似た顔を選んでいる」
というのが生物学的な性質です。
人間は自分の顔がお気に入りだという
事実はあるものの、
「自分の顔が好きじゃない」、
「顔にコンプレックスがある」といった
悩みを抱えている声もあるため、
一見違和感があるかもしれません。
とはいえ、いくら自分が気に入れないと
しても、
実は潜在的に自分の顔を好んでいる
可能性がうかがえる科学的根拠が
あります。
『類似性の法則』
(テキサス大学のドン・バーン、
ドン・ネルソン博士提唱)によれば、
自分の趣味嗜好が近ければ近いほど
親近感を覚え、
逆に、遠い人ほど反感を覚えやすい
性質があります。
そもそも、人間は無意識に、
自分の保有する者が価値あるものだと
実感したい心理を持っています。
この原理を、外観というものに
当てはめて考えると、
「自分の顔(類似も含む)は
陶酔できるほど魅力的」であって、
「自分より明らかに外観に優れている人と
いれば、劣等感に苛まれる」
といった状態です。
人間の心が複雑な性質を有していることも
あって、
本音の部分が蓋をされることが
多々あるため、
本人が実感できなくても、
無意識レベルでは自分の持っている性質を
好んでいるため、
結果的には、
他者を通して自分を確認するような行為を
無自覚にやっているようなことは
案外あるものです。
また、似た者同士が惹かれ合う現象は、
人間に限った話だけでなく、
動物の世界にもあります。
アソータティブ・メイティングと呼ばれ、
語訳としては同種婚、同種交配といった
意味を持ちます。
近親交配など血が濃すぎると
色々支障が出るため、
ある程度の範囲で近い遺伝子を選ぶことで
「自分の持っている特徴を残せる」
といった生物的に備わっている性質です。
ここにいう類似には、
ヴィジュアルに限った話だけではなく、
性格などの面でも見られます。
性的なものも含めて魅力を覚える相手が、
自分と似た要素を持つなら、
結果的に同じような遺伝子を後世に
残すことにつながります。
この原理について、
『利己的な遺伝子』の著者の
動物行動学者リチャード・ドーキンスの、
「生物は遺伝子によって利用される
『乗り物』に過ぎない」という
格言づけられるほど、
人間の行動は遺伝子によって操られている
ことを裏付ける動物界の学説があります。
また、ノルウェーのオスロ大学の教授の
研究発表では、
ある人(仮にAさんとします)に
Aさんとはまるで別の顔の画像に
モーフィング処理を行い、
Aさんの顔の要素を入れてブレンドさせ
左右対称の顔を作成する実験が
あります。
モーフィングとは、
映画やアニメの中で使用されるSFXの
1つである画像処理技術で、
コンピュータグラフィックスの手法を
用いります。
学生100人の顔をモーフィングし、
学生に何も知らずに見せたところ、
自分自身の顔の要素が入れられた
加工処理された画像に
より強い魅力を覚えたという結果でした。
『美は見る人の目の中にある』という
格言があるように、
自分が感じたことを相手も感じていると
捉える、
いわば人間の防衛機制の一種である
「投影」というメカニズムによって
似た対象に好意を寄せるといった
自己愛の本質を明らかにしたものでした。
とはいっても、
人間は結局イケメンや美人や、
各セクシュアリティの中でその界隈の
上位なヴィジュアルが好きなのではないか
と思えるかもしれません。
いわゆる
トロフィーワイフ、トロフィーハズバンド
みたいな用語を文字ってジェンダーレスに
トロフィーパートナーと表現すれば、
「生涯にわたって絆を深めていく」こと
よりも
「周囲に羨ましがられ、
自分のステータスを上げる」ことの目的が
上回っているっていうのが
いわゆる面食いの本質ともいえます。
パートナーを、他者への自慢を意識して
選ぶと大抵痛い目に遭い、
似た性質を持つカップルは長続きしやすい
傾向があります。
もちろん、外観だけでなく
食生活、趣味、仕事、スポーツ、
生活リズム、リバタチなどの
要素もあるので、
外観の類似性が満たせば大丈夫とは
いえませんが、
ある程度の範囲で近い因子を
持っているというのは
根幹な要素といえそうなので、
パートナー選びの視点の選択肢を
広げる意味では良いかもしれません。
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