LGBTの相続問題において、
同性カップルのパートナーに、
子(卑属)、
父母(尊属)、
兄弟姉妹のいずれもいない場合、
そのパートナーが亡くなったときには、
相続人がいないことになります。
ほかに、本来の法定相続人が全員相続放棄した
場合も、相続人がいないケースに該当します。
そうすれば、
生前に身寄りの世話をしてきた者が
財産を受けることができる、
いわゆる「特別縁故者」として、
相方である自分が相続を受けることが
できる余地があると考えられますねぇ。
たしかに、民法上の相続の規定では、
そのようになりそうに思えますが、
ここで注意することがあります。
特別縁故者とは、
家庭裁判所の審判によって財産を受ける
ことができる者です。
つまり、遺されたパートナーが
特別縁故者になれるかどうかは、
家庭裁判所の判断次第
なのです。
よって、いくらパートナーには
法定相続人に該当する者がいないからと
いっても、
特に生前何もしなくて大丈夫という
わけではありません。
では、なぜどのように対策すれば
良いのでしょうか。
1.特別縁故者の定義とは…
民法上の規定では、
特別縁故者になれる条件として、
次の3つが定められています。
①被相続人と生計を同じくしていた者
例えば、婚姻届を出していない内縁の配偶者や、
事実上の養子・養親が該当します。
②被相続人の療養看護に努めた者
被相続人を献身的に看護したり介護したりしてた
者を指します。
これは、無償で利害関係なく行っていることを
いうので、看護師や介護士など、
職業として看護や介護を行っていた人は
該当しません。
③その他被相続人と特別の縁故があった者
①・②と同じくらい被相続人との間に
具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接
な関係があった人で、
その人に財産を分与することが被相続人の
意思に合致するであろうと思われる者を
いいます。
①~③を踏まえると、
パートナーも特別縁故者になれる要素は
あります。
しかし、家庭裁判所の審判によって
特別縁故者になれるので、
上記の条件に該当していることの証明が
必要になります。
裁判官に確かにそうなんだという
心証を抱かせるための証拠は、
割とハードルが高いんです。
たしかに、特別縁故者が簡単に認められれば、
身寄りのないお金持ちの人に財産目当ての
ハイエナが群がり放題になりかねませんので、
そのような現状だといえるのでしょう。
また、パートナーが特別縁故者の審判を
受けるのにも期間を要するのです。
2.パートナーが特別縁故者の審判を受けることはすぐにできるわけでない
第一に、
相続人調査をして相続人がいない場合、
亡くなられた方の財産について、
家庭裁判所が相続財産管理人を選任
します。
選任された相続財産管理人は、
まず相続人が本当にいないかを確かめるため、
相続人捜索の公告を官報に載せるなどして
行います。
そして、一定の期間内に相続人の申出が
なければ、
相続人不存在が確定されます。
相続人不存在の状態になると、
特別縁故者に財産分与を申し立てる権利が
与えられることになります。
実は、
手続上相続人不存在が確定するまでは、
最低10か月かかります。
特別縁故者として認められる人が
家庭裁判所に申立てをして、
審判を得られれば、
その人が遺産の一部又は全部をもらうこと
ができるようになります。
特別縁故者として
認められなかった場合や、
特別縁故者に財産の一部しか
与えられなかった場合、
財産が残ってしまいます。
この残った財産は、
国庫に帰属することになってしまいます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
あらかじめご自身に法定相続人がいないと
分かっている場合は、
パートナーが特別縁故者になる余地
に依存せず、
遺言を作成するなどの策を講じた方が、
いざパートナーが相続手続をする際にも
有効といえます。
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