名前の変更をしようと思うと、
性別取扱いの変更の審判を受けないと
手続が進まないという話がありますが、
それは誤解です。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に
関する法律」によると、
家庭裁判所に
性別取扱いの変更の審判を申し立てるため
には、以下の要件を満たす必要が
あります。
①20際以上であること
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/未成年はダメ.jpg)
②現に婚姻をしていないこと
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/独身.jpg)
③現に未成年の子がいないこと
④生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を
永続的に欠く状態にあること
⑤その身体について他の性別に係る身体の
性器に係る部分に近似する外観を備える
こと
ただ、あくまで性別取扱いの変更は、
名の変更とは別個の手続なのです。
1.性別取扱変更の要件ってハードル高いんじゃないですか!?
上記の①~⑤の要件は、
性別の取扱いの変更により、
他者や社会への影響、家族制度・秩序
への影響の配慮など、
政策的な判断により設けられています。
④・⑤については、
生殖機能により子が生まれることによる
社会的混乱や、
外観から生じる生活上の混乱を防止するため、
当事者に手術を要求しています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/手術.jpg)
しかし、
性別適合手術は、身体への重大な侵襲を
伴い、
体質によっては手術を受けることが
不可能な場合もあります。
ただ、
性別取扱いの変更の審判を
受けられないことが、
名を変えることまでできなくなって
しまうというわけではない
のです。
2.性別取扱いの変更の審判と改名手続はバリューセットではない!
名前というのはその人の性別の判断材料になる
ことは多く、
性自認について違和感を抱えている当事者に
とっては、名の変更は重要です。
そのような場合、
家庭裁判所に改名の審判を
申し立てることができます。
ここで、名を変更するのに
「正当な事由」
が必要になります。
正当な事由とは、
名を変更しなければ、
その方の社会生活において著しい支障を
来す場合をいいます。
家庭裁判所では、
調査官や参与員との面談を経て決定が
なされることが多いのが事実です。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/面談.jpg)
ただ、
「名を変更したい切実な事情」を
訴える疎明資料次第では、
面談をしなくても、
書面の手続だけで済む可能性も
あります。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/書類-291x300.jpg)
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
性別取扱いの変更と名の変更は同時に
なされることが多いですが、
それは統計的な話にすぎず、
性別取扱いの変更ができないが故に
名の変更までをも諦めることはない
のです。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/朗報.jpg)
また、性別取扱いの変更の手術の要件の
必要性は疑問視されています。
![](http://amethysthoumu.com/wp-content/uploads/2017/09/疑義.jpg)
他国では、ドイツ、オランダ、
オーストリア、スペイン、イギリス、
スウェーデンにおいては、
性別適合手術は、必要的な要件と
されていません。
社会的な理解や当事者を取り巻く状況は
日々変化し、
現在の家族制度や法体系は
必ずしも絶対視されるべきものでは
ありません。
当事者のニーズに寄り添いながら、
性別取扱いの変更に関する要件を再考して
いく必要があるのではないでしょうか。
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